離婚時の財産分与「白を切る妻」の金融資産を押さえるポイント

※本記事は、弁護士の稲葉治久氏の著書『男はこうしてバカを見る 男女トラブルの法律学』(幻冬舎MC)の内容を一部抜粋・改編したものです。最新の情報・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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離婚に応じない妻と、是が非でも別れたい場合は…

妻が離婚に同意してくれない、裁判でも離婚を認めてもらえない──。それでも、どうしても、是が非にでも別れたい場合には、お金で解決するという方法も考えられます。つまり、離婚に合意してくれることを条件に、“解決金”として相応の金銭を妻に対して支払うのです。

 

離婚の話が出るような状況なのですから、そもそも夫婦の関係は基本的に険悪になっているはずです。にもかかわらず離婚に反対しているのは、結婚への執着心や単に現状が変わることへの抵抗感などがあるからなのでしょう。

 

そうした思いや感情は、離婚の話し合いや調停の過程を経るなかで少しずつ薄らいでいくかもしれません。そこで、解決金を示せば、「まとまったお金をもらえるなら、別れてあげようかしら」という気持ちに傾く可能性は少なくありません。

 

解決金の額は、夫の収入などによって変わってきます。相場などはなく、本当にケースバイケースです。これまでの私の経験からすると、普通のサラリーマンで給与がそれほど高くなければ100万円程度、それなりの額の給与を得ているのであれば200~300万円は必要になるという感じでしょうか(もちろん、妻が同意してくれることが前提になりますが……)。

 

また、妻が「どうしても離婚はしたくない」と言い張っているのであれば、金額はより高くなります。

 

金銭でないと解決できない、離婚もある

金銭でないと解決できない、離婚もある

婚姻費用を負担するよりも解決金のほうがお得

 

「そんなにかかるのか!」と思うかもしれませんが、婚姻費用を払い続けることを考えれば、実ははるかに安上がりとなるかもしれません。

 

離婚を求めて別居生活を続けているような場合でも、妻の生活費を婚姻費用として支払わなければなりません。

 

婚姻費用の金額は、夫と妻の年収、子どもの人数・年齢に基づいて決められます。裁判所の養育費・婚姻費用算定表が示すように、例えば年収が600万円から800万円のサラリーマンで、小さな子どもが二人おり、妻がパート勤め等をしていてその年収が扶養範囲内の場合には、毎月10数万円になります(「養育費・婚姻費用算定表」表13参照)。

 

1年間ではゆうに100万円を超えてしまいます。それだけの金額を5年、10年と支払い続けるよりは、解決金として数百万円を渡してそれでおしまいにするほうが得策ではないでしょうか。

定年間近だと、退職金見込額が分与の対象になることも

慰謝料、婚姻費用、解決金……離婚の際にはこのように何かとお金がかかりますが、それらとは比較にならないほど、大きな“出費”となる可能性があるのが財産分与です。

 

財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚の際に分配する制度です。夫婦の共有財産とみられるものを2分の1ずつ分けあうのが原則になります。通常は以下のような財産が分与の対象になります。

 

①預貯金

②自宅マンション等の不動産

③株式・投資信託等の金融資産

④保険の解約返戻金


②不動産については、残ローンがあるような場合には、物件を売却し、残ローン完済後、その残代金を2分の1ずつ夫婦で分けあうことになります。不動産の名義が夫であろうと、妻であろうと変わりなく、原則半分ずつです。

 

④保険の解約返戻金については、夫婦それぞれの名義で加入している保険が対象になります。つまり、夫婦がいずれも保険に入っているのであれば、夫名義の保険、妻名義の保険両方の解約返戻金を半々に分けなければなりません。また、婚姻前から加入していた保険であっても、婚姻期間中に保険料を支払った部分の解約返戻金については分与することが必要です。

 

さらに、①から④の財産に限らず、資産的価値があるものであればすべて財産分与の対象に含まれることになります。

 

たとえば、夫がアンティークおもちゃのコレクターであり、それらを買い取り業者などに売却すれば相応の金額になるような場合、結婚後に購入したおもちゃの半分は妻に分け与えなければなりません。

 

また、定年退職が近いような人は、婚姻関係が破綻したと認められる時点での退職金見込額が分与の対象となる場合があります。

 

稲葉セントラル法律事務所
東京弁護士会 代表弁護士

1976年茨城県生まれ。江戸川学園取手高校卒業。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。青年海外協力隊員としてアフリカ・ジンバブエでボランティア活動。関東学院大学法科大学院卒業。平成24年弁護士登録都内大手法律事務所勤務。平成28年7月より稲葉セントラル法律事務所を開設。メディアへの出演・法律監修多数。

著者紹介

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