「親が認知症で要介護」という境遇の人は今後、確実に増加していくでしょう。そして、介護には大変、悲惨、重労働といった側面があることも事実です。しかし、介護は決して辛いだけのものではなく、自分の捉え方次第で面白くもできるという。「見つめて」「ひらめき」「楽しむ」介護の実践記録をお届けします。本連載は黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)から一部を抜粋、編集した原稿です。

「風呂に入るかどうかを確認」毎朝日付を見る理由

毎朝日付を見る理由

 

最近のじーじは、日付がわからなくなることが多く、毎朝「今日は何日で、何曜日で、俺はどこのデイに行くんだ?」と聞く。じーじは月曜日から土曜日のあいだ、曜日を分けて3つのデイサービスを利用しているので、混乱してもしかたがないが、ほぼ毎朝何回も聞かれるとついイラッとしてしまう。

 

黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)
黒川玲子著『認知星人じーじ「楽しむ介護」実践日誌』(海竜社)

そこで、今日は○月×日(△)、今日のデイサービスはSです。とホワイトボードに書いて、目立つところに下げてみた。しばらくはこの作戦が成功し、「今日俺はどこのデイに行くんだ?」と聞く回数が減り安心していたが……。

 

「この日付は間違っている」とじーじ。

 

新聞を差し出して日付を見せたり、カレンダーを指さしたりしてもまったく聞き入れないどころか「お前は間違っている」と言い出す始末。

 

そこで、作戦その2。日付を書いたホワイトボードをありとあらゆるとこに置いてみた! 

 

……が失敗。どうしたものかと家中のカレンダーを見ながら考えていたところ、じーじが

 

「お前が間違っている」の原因を発見! なんと、寝室に貼ってあるカレンダーは1か月先だった。

 

そこで、「じーじ、寝室のカレンダー1か月先だよ」と伝えると、おもむろにマジックを取り出し、なんと9月に大きく×をつけ、8月と書き替え一言「これで正しい、どこのデイに行けばいいかわかる」。素早い行動にあっけにとられる私を横目に、寝室をあとにするじーじ。

 

どうしたものかと考えていたその時。

 

……ピカッとひらめいた!

 

「認知星人は認知星のカレンダーで動いている」

 

そう思ったら腹も立たなくなったので、じーじにどうして毎朝日付を確認するのか聞いてみたところ、「今日は風呂に入る日かどうかを知りたかった」とのこと、お風呂に入るのは火・木・金で、Sというデイサービス。じーじが知りたかったのは、今日お風呂に入れるか入れないかだったらしく、日付はおまけみたいなものだったようだ。

 

今日はお風呂の日。三波春夫の娘だと信じ込んでいる南という名前のスタッフさんに、

 

「三波春夫でございます~」と言ってご出勤。

 

黒川 玲子
医療福祉接遇インストラクター
東京都福祉サービス評価推進機構評価者

 

 

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