「都道府県次第」の規制をよそに、盗撮の手口は巧妙化
盗撮機器は、巧妙なつくりになっているものも多く、ひと目でカメラと気づきにくいものばかりです。また、日に日に進化しています。通販サイトですぐ購入することもできてしまいます。なるべく情報を集めておくようにしましょう。
増加する「隠し撮り」「のぞき見」…被害事例のQ&A
Q1.「駅のエスカレーターで、女子高生のスカートの下にスマホを差し入れている男がいた。」
⇒駅のエスカレーターは、公共の場ですので、どこの条例でも犯罪となります。
Q2.「会社の更衣室のロッカーで、小さなボタンのようなカメラを見つけた。警察に届けたところ、私の着替える様子が撮影されていた。」
⇒会社の更衣室は公共の場ではなく、私的なエリアです。そのため、地域によっては条例でも罪になりません。
ただし、刑法の「建造物侵入罪」にはなります。会社の女性更衣室に正当な理由なく侵入しているからです。
しかし、建造物侵入罪の被害者は建物の管理者ですので、会社の社長が侵入して盗撮した場合、盗撮した社長が被害者という矛盾が生じます。
Q3.「学校のトイレの個室に入り、なにげなく上を見たら自撮り棒が出ていて、トイレの様子を盗撮されていた。」
⇒生徒が撮っていた場合、加害者も被害者も、ともに生徒ということになります。この場合、条例違反に該当する場合でも学校によって対応が大きく変わることが考えられます。
残念ながら、生徒どうしの盗撮は増加傾向にあります。不審なことを感じたら、先生や親に相談しましょう。
また、個室に入ったら自撮り棒が覗いていないか、エチケットボックスなどに変なものがないかを確認する習慣をつけましょう。
Q4.「写真を消されたら証拠がなくなる?」
⇒盗撮した相手がその場で動画・画像を消去しても、警察で復元できます。その後の流れは、ほかの刑事事件と同じです。加害者が逮捕されるか、任意同行されるかして捜査がなされ、証拠が集まれば立件されます。示談が成立すれば不起訴になることもあります。
上谷 さくら
弁護士(第一東京弁護士会所属)、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務次長
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