繰り返せば「ストーカー」になる8つの行為
<あなたを守る法律>
【ストーカー規制法】第1条 目的
1 この法律は、ストーカー行為を処罰する等ストーカー行為等について必要な規制を行うとともに、その相手方に対する援助の措置等を定めることにより、個人の身体、自由および名誉に対する危害の発生を防止し、あわせて国民の生活の安全と平穏に資することを目的とする。
「ストーカー行為等の規制等に関する法律」は、「ストーカー規制法」と一般的に呼ばれます。この法律は、同じ人に対してつきまとい等を繰り返すストーカー行為者(加害者)に、警察署長等から警告を与えたり、悪質な場合に逮捕したりすることで、被害を受けている人を守る法律です。
ストーカー規制法で規制の対象となるのは、「つきまとい等」と「ストーカー行為」の2つです。具体的に、次の8つの行為が「つきまとい等」として禁止されており、繰り返すと「ストーカー行為」になる場合があります。
<「つきまとい等」に該当する8つの行為>
●つきまとい、待ち伏せ、見張り、住居等への押しかけ
例)学校や職場で待ち伏せ、尾行、自宅への押しかけやうろつき
●行動を監視していることがわかることを告げる
例)帰宅したとたんに「お帰りなさい」と電話する
●面会、交際などの要求
例)拒否しているのにしつこく面会や復縁を求める
●著しく粗野、乱暴な言動
例)自宅まで来て大声で叫んだり、罵ったりする
●無言電話、拒否したのに連続して電話、FAX、メール、SNS
例)しつこい電話やメッセージの送付、コメント欄へしつこく書き込む
●汚物や動物の死骸などを送りつけ、嫌悪感や不安を与える
●名誉を害することを告げる
例)名誉を傷つけるようなことを言う、そのような内容の文書を送り付ける
●性的羞恥心を害することを告げる、文書等を送付する
例)わいせつ写真を送りつける、電話や手紙で卑わいなことを言う
これらの行為は、刑法の脅迫罪や強要罪にあたる場合もあります。ストーカー行為についてもっと詳しく知りたいときは、各都道府県警のホームページが参考になります。
放置すれば性犯罪や殺人にエスカレートする危険性
ストーカー被害にあっている場合は、遠慮せず早めに各自治体の「配偶者暴力相談支援センター」や警察に相談することがなによりも大切です。ストーカーは、性犯罪や殺人といった凶悪犯罪にエスカレートする可能性があるためです。相談する場所がわからない場合は、「#9110」に電話をすれば、相談窓口となる最寄りの警察署につないでくれます。
自宅についても対策を立てましょう。ストーカーに自宅を知られている場合は、避難先となるシェルターを紹介してもらえたり、ホテル代を補助してもらえたりする場合があります。ストーカーにあなたの自宅を知られていない場合は、身の安全を守るために、絶対に住所を知られないようにします。住民票を置いている市区町村に相談すると、住民票の交付を制限する手続きをすることができます。
警察にストーカー被害の相談をすると、ストーカー規制法に基づいて、図表のような流れで対応がなされます。
「ストーカー?」と思ったら証拠を保存し、警察へ
Q1.「どこからがストーカーになるのか判断がつかない。」
自分だけで判断せずに、まずは警察に行って相談しましょう。仮に法律上のストーカーとはいえなくても、警察が相手に電話などで警告をしてくれるケースも多くあります。
なお警察に行く際は、場合によっては事前に相談予約を取り、信頼できる友人や親族に同行してもらうとよいです。
Q2.「ストーカー行為を受けている。ただ、相手は仕事や立場的に社会的な信用がある。警察はこちらの言い分を信じてくれない気がする。」
まずはストーカー行為を受けている証拠を残すことが重要です。電話は着信記録を保存し、通話したときは録音しましょう。SNSの投稿はスクリーンショットなどで保存するとよいです。待ちぶせは、可能であれば防犯カメラを設置するなどして記録しましょう。こうした証拠があれば、警察もスムーズに動けます。後日、刑事事件や民事訴訟になった場合にも、これらの証拠はとても役に立ちます。
Q3.「SNSでつきまとわれている。ブロックすれば収まる?」
いきなりブロックすると、拒絶されたと感じて逆上される危険がありますのでやめてください。居場所を探されたり、家に押し掛けてくる可能性もあります。返信するのも、ストーカーとの関係性を継続することになってしまうため、やめるべきです。ブロックも返信もせず、画面を保存して警察に相談してください。
<関連条文>
【刑法】第222条 脅迫
【刑法】第223条 強要
1 生命、身体、自由、名誉、もしくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、または暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した者は、3年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉、または財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、または権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前2項の罪の未遂は、罰する。
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