タワマン大規模修繕「2022年問題」をクリアできるか
2022年前後にタワマン大規模修繕のピーク
この国にタワーマンションが大量に建設されたのは1997年の建築基準法改正後。実際には2000年前後から竣工ラッシュを迎えた。
2020年には東京五輪の開催が延期されたが、その2年後あたりに築15年から20年を迎えるタワーマンションが大量に発生する。現在ラッシュを迎えたタワーマンションの大規模修繕工事は、そのころがピークになるはずだ。
これがいわゆるタワマン大規模修繕の「2022年問題」と呼ばれている。
何度か説明しているように、タワーマンションの大規模修繕は、費用面と工法面で通常の板状型マンションより難易度が高い。
まず、前述のように費用面では通常の板状型マンションの2倍以上はかかる。普通のマンションなら1戸あたり100万円が基本だが、タワーの場合は200万円から250万円。建築コストは日々上昇しているので、今後は1戸あたり300万円に近づく可能性もある。
工法面でも難易度は高い。
タワーマンションは、各ゼネコンがその時々の最新技術を用いながら施工してきた。ゼネコンによって工法は微妙に異なる。また、免震や制振の技術は日々進化している。
通常の板状型マンションは施工法がほぼ確立されている。特に日本でマンションを最も多く作ってきた長谷工コーポレーションが施工したマンションは、まるで工業規格品のように同じやり方で建設される。施工精度も均質化している。
衣料でいえばユニクロの製品だ。デザインや設計面での面白味には欠けるが、施工精度は安定している。反面、年月を経るにつれての成熟は望めない。しかし、施工不良の可能性が低いであろうことは期待できる。
さらに、大規模修繕工事も容易だ。工業規格品ならではのやりやすさがある。
これに比べて、タワーマンションの場合はすべてがオーダーメードだと捉えるべきだ。同じ施工会社であっても、物件によって工法が違ったりする。