平々凡々な暮らしに、突如1本の電話が……
母…70代。足腰が弱くなり、日常生活が困難に
長男…50代、既婚、実家近くに在住
長男妻…長男の実家に近いため、義母の世話をよく見にいっている
次男…50代、既婚、東京在住
ある地方都市に住むAさんは、二人兄弟の長男。地元の大学に進学し、地元の企業に就職し、そこで現在の妻とであり結婚。自身も「よくある平凡な人生ですよ」と自虐的に話しますが、特に大きなトラブルもなく、平々凡々幸せに暮らしてきました。
住んでいるのは、実家から車で10分、徒歩でも30分ほどしか離れていないところ。結婚当初、妻は「お義父さん、お義母さんたちと同居でも構わないわ」といってくれましたが、Aさんの両親から「いずれ子どもが生まれたら、こんなところじゃ狭いから、同居なんてやめとけ」と断られたといいいます。両親なりの気遣いでした。
こうして、親とは同居せず、でもお互い気軽に行き来できる関係で、よくある嫁姑問題とも無縁。「お前のうちはいいよな、嫁さんと親が仲良くて……」と周囲から羨ましがられるほどだったといいます。
3つ離れた弟は高校卒業と地元を離れ、東京の大学に進学。そのまま都内の企業に就職。仕事で忙しいのでしょう。地元に帰って来て顔を合わせるのは1年に1回、あるか、ないか。男兄弟ということもあり、電話やメールで頻繁にやり取りすることもなく、段々と年に数回、近況報告をする程度の関係だったといいます。
「お互い、いい大人ですから。この年になっても仲のいい兄弟というのも気持ち悪いですよね」とAさん。そんなある日のこと、母が病院に運ばれた、という電話を受けました。
電話を受けて、すぐに病院に駆けつけたAさん夫婦。自宅の階段で足を滑らして1階まで転げ落ちたという母。幸い、右足の骨折以外は外傷はなく、ベットの上の母は元気そうでした。
実家の階段は急で、年老いた母には危険だと感じていたAさん。Aさんの妻もいつかなにかあるんじゃないか、と心配していたところ、母が階段から落ちるという事故。「お義母さんさえ良かったら、同居しない」とAさんの妻がいってくれました。
「子どもたちが出ていって部屋も余っているし。リフォームして、お義母さんも住みやすいようにしてあげたら、そのほうが安心じゃない?」
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