仲の良い家族でも、お金が絡むと人は変わるもの。相続にまつわる争いは絶えません。そのようなトラブルを他人事と思わずに、事例から相続対策を学ぶことが重要です。今回は、編集部に届いた遺産分割協議中に起きたトラブルについて、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の山田浩史税理士が解説します。

バツ1の長女が実家に出戻り…自宅の相続はどうなる?

[登場人物]

父…70代
母(Aさん)…70代
長女…40代、バツ1、子どもなし。離婚後、実家に出戻り
二女…40代、既婚、子ども2人

 

 

「わたしたち、離婚することになったわ」

 

ある日、Aさんは長女からこのように打ち明けられました。男勝りで、負けん気の強い長女は、就職後、「同期の男子が、本当に頼りなくて……あんなやつらに絶対負けない!」と闘争心を燃やし、仕事一筋でがんばってきました。そのようなこともあったからでしょうか。同世代の子が次々と結婚していくのに対し、長女には結婚の「け」の字も見えてきません。Aさんは夫に頼んで、「そろそろ、結婚なんて、考えてもいいんじゃない?」とさり気なく言ってもらったこともありました。

 

「そんなこともあったから、長女が結婚するって言ったときは、肩の荷がおりる思いでいっぱいだったんですが……」

 

長女の結婚生活は、たった1年で終わりを告げました。きちんとした理由や経緯は聞けませんでしたが、よくある「性格の不一致」が原因だったようです。

 

離婚後、長女は実家に戻ってきました。「やっぱり、実家は最高ね」と長女は開放感に満ちた顔でくつろぎ、その様子を見ていた父親も何だかんだいて、嬉しそうにしていたそうです。

 

そんな出来事があってから5年ほど経ったとき、父親がこの世を去りました。1年ほど前から大病を患っていたそうです。

 

父親が残した財産は、評価額5,000万円の自宅と、預貯金が1,000万円ほど。

 

「この家は、お母さんが相続して、その代わり、預貯金はわたしとC子(二女)で分けるというのはどうかしら? この家にいて、お母さんの面倒もちゃんとみるんだから」

 

長女からそう提案されたAさんは、このとき77歳。できれば50年以上住んでいる愛着のある家を終の棲家にしたいと考えていたので、長女の提案に異論ありませんでした。

 

「いいわよ。その代わり、ちゃんと最期まで面倒みてよ」

 

次ページ母と長女の遺産分割案に、次女は反対で大喧嘩

※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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