相続人が未成年だから、まわりの大人がサポート…。そんな状況下だから起きる相続トラブルがあります。相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の竹下祐史税理士が、編集部に届いた相続にまつわる争いについて解説します。

懐いてくれる孫を溺愛する祖父

[登場人物]
祖父…九州在住。懐くKさんを溺愛する
Aさん…長男。Kさんの伯父、現在父の自宅近くに居住
Bさん…次男。Kさんの伯父
C子さん…長女。Kさんの母、現在、関西在住
Kさん…C子さんの子、祖父が溺愛する孫

 

東京の大学に通うKさん。出身は関西で、進学で上京してきました。Kさん、もうすぐ20歳の誕生日で、すごく楽しみにしていることがあるそうです。

 

「亡くなった祖父から相続した車に、20歳になったら乗れるんです」

 

亡くなった祖父とは、Kさんの母方の祖父のこと。祖父は九州の田舎に住んでいて、地元では名の知れた大地主でした。Kさんは根っからのおじいちゃん子で、長期の休みには一人で祖父の家に訪れては、ずっと田舎暮らしをエンジョイする、そんな幼少時代を過ごしていました。

 

「祖父の家の周りには山があって、川があって、自然がいっぱいなんです。夏休みの間はずっと祖父の家にいました。祖父が運転する車で、いろんな所に連れてってもらいました」

 

そんなKさんを、祖父もかわいがっていました。

 

「この子のほかに、孫は7人いるんですけど、飛び切りかわいがってもらっていましたね。『おじいちゃん、大好き!』なんていいながら、関西から一人で電車を乗り継いで来てくれるわけですから、そりゃ、そうですよね」

 

そう話すのは、Kさんの母であるC美さん。祖父にとっては、末っ子の長女にあたります。祖父にはほかにも、Kさんの伯父にあたる長男のAさんと、次男のBさんがいました。

 

「A伯父さんは、祖父の家の近くに住んでいたので、子どものころはよく遊んでもらっていました。でもちょっとお金にだらしないところがあるらしく、よく祖父と喧嘩をしていたのを覚えています」

 

祖父が亡くなったのは、いまから5年ほど前のこと。A子さんが中学3年生のときでした。大病を患い、半年ほど闘病生活を送った末、亡くなったといいます。そのときのことを、C子さんは振り返ります。

 

「九州の田舎とはいえ、遺産となると結構な額になるので、遺される身としては、正直気がかりでした。仲の良かった兄弟姉妹が、遺産を巡って骨肉の争い、なんてよく聞くじゃないですか。でも父は先が長くないことをきちんと悟っていたんでしょうね。きちんとした遺言書を残してくれていました」

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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