亡くなった祖父に借金が発覚!子どもたちは遺産を放棄
父(祖父)…今回の事例で他界により相続が発生
長男・長女・次男…仲は良くない。次男はすでに他界
Aさん…祖父の孫であり、次男の子ども
「え! 親父にそんな借金があったのか⁉」
葬式が一段落つき、親族でお茶を飲んでいた最中。長男の驚いた声が部屋に響きました。
長男も長女も、そして孫であるAさんも、亡くなった父(Aさんにとっては祖父)が空室続きの不動産を保有し、結構な額の借金があることがわかったのです。遺産整理中に明らかになったその事実は、まさに蒼天の霹靂でした。なにしろ長男も長女も、ある程度の資産を相続するつもりだったのですから。先ほどまで「誰がどれだけ取り分を貰うか」で争っていた長男たちですが、途端に相続権の押し付け合いに発展します。
元々仲の悪い兄妹です。穏やかに話し合いが進むはずもありませんでした。すでに亡くなっている次男とも折り合いが悪かったといいます。当然家族間の交流もなく、Aさんが伯父、伯母である長男、長女と顔を合わせることもあまりありませんでした。
必然的に、言い争いはヒートアップしていきます。
長女「借金って……しかも、これかなりの額じゃない。不動産が売れたとしても、チャラにならないんじゃない?」
長男「相続で借金を抱えるなんて……」
長女「まったく、長男なんだから死んだ父親の尻ぬぐいくらい……」
長男「お前はいつも都合が悪くなると周りに押しつけやがって!」
長女「あんたもそうでしょ! 偉そうにするだけで何もしないじゃない!」
Aさん「……僕が借金も含めて相続します。それなら伯父さんと伯母さんもいいですよね」
Aさんの父である次男はすでに亡くなっているため、次男の子どもである孫のAさんが相続人になります。Aさんが「自分が相続する」と宣言した瞬間、長男と長女は眼を輝かせました。
長男「そ、そうか。ありがとう、A」
長女「それじゃあよろしくね、私たちは相続放棄するから」
口には出さないものの、「Aが貧乏くじを引いてくれた」と考えたことは明らかです。それでも、Aさんは借金を背負ってでも相続することを決めました。
「おじいちゃん、おばあちゃんには、本当にお世話になったので」
長男と長女が早々に相続放棄したことで、家財などの処理もすべてAさんが行うことになりました。
まずは借金しか生まない不動産を売却して、返済の目途をたてました。しかし、借金全額がチャラになるわけではないことが判明。祖父の住んでいた自宅も売却してしまえば、すべて返済し終わる……そんな見通しに、勢いで「借金を含めて全部相続する」といったことに後悔の念を抱き始めていました。
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