高齢な親をほっとけないと、介護を見越して同居をするパターンが増えています。その際、親が暮らしやすいようにとリフォームをした場合、その代金を巡って親族間のトラブルになるケースがあります。編集部に届いたそんな相続トラブルについて、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の北川聡司税理士が解説します。

母との同居を弟に報告…話は思わぬところに

妻からのありがたい申し出に、Aさんはすぐに母に相談。「お父さんとの思い出が詰まった家かもしれないけど、お母さん、1人暮らしは危険だよ。退院したら、うちに引越しておいでよ」。最初はAさんの申し出に渋っていた母でしたが、「あの家を売ったお金でリフォーム代は払うわ。それでいいわね」という条件で同居に向けて進んでいきました。

 

そんな展開を報告しておこうと、弟にメールを送ったAさん。その夜、珍しく弟から電話が入りました。成り行きを説明すると、「兄貴の家のリフォーム代、母さんが払うのっておかしくないか」と弟。「えっ、でも母さんから言い出したことだし。母さんが住みやすいようにリフォームするわけだから」と返答するAさん。しかし弟は納得しません。

 

実家を売ったお金で、Aさんの家が新しくなることに変わりはなく、不公平だ――。というのが弟の主張です。とはいえ、これまで実家の近くだから、ということもあり、父が亡くなった後、1人暮らしの母を気遣ってきた自負がAさんにはあります。そのことを弟に伝えると「母さんの面倒はよろしくなど、ひと言もいった覚えはない」と声を荒げる弟。

 

「知らないと思っているかもしれないが、俺は知っているんだ。兄貴が家を建てるとき、父さん、母さんから援助があっただろう。俺はそんな援助、1円だってもらったことがない。これを不公平だといわずに、なんていうんだよ」

 

確かにAさんは家を建てるときに、両親から資金援助がありました。そのことを自ら弟に言うことはありませんでしたが、隠していたわけでもありません。弟の言いがかりに納得のいかないAさん。言い返そうとしたとき、弟はさらに畳みかけます。

 

「リフォーム代を出してもらうということは、母さんに何かあった際の遺産を先にもらっているようなもんだよな。だから母さんが何かあったときの遺産は、すべて俺のもんだからな」

 

弟の主張に、開いた口が塞がらないAさん。まだまだ元気な母に対して、もしものことがあったときのお金の話をするなんて……。以前、東京に家を買い、ローンで大変だという話を弟から聞いたことがあったAさん。非常識な発言もここから来ているのだろうと考えられますが、実母であっても失礼過ぎると、Aさん、怒りで電話を切ったといいます。

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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