高齢な親をほっとけないと、介護を見越して同居をするパターンが増えています。その際、親が暮らしやすいようにとリフォームをした場合、その代金を巡って親族間のトラブルになるケースがあります。編集部に届いたそんな相続トラブルについて、相続・事業承継専門の税理士法人ブライト相続の北川聡司税理士が解説します。

 

■ 対策

以上のように、介護のためのリフォーム工事を通じて多くの問題が生じます。対策としては

 

① リフォーム工事が贈与とならないように、リフォーム工事相当額の家の持分を親が持つ
② 親が遺言により、特別受益の持戻しを免除する旨を記載する
③ 寄与分や特別寄与分を請求する

 

が考えられます。

 

これから行うリフォームについては①により贈与を回避、過去の自宅購入時の資金援助は②で対応が理想ですが、優しいAさんがお母さんに遺言を書いてほしいと頼むのは難しいかもせれませんね。最後の手段として③の寄与分請求でしょうか。

 

最後に、民法改正により「過去10年以内の特別受益のみしか持戻しの対象とならない」となったのは、遺言があった場合の遺留分を計算する上での定めです(2019年7月1日以降の相続の場合)。

 

遺言がない場合の特別受益については、10年以上昔のことであってもそれを考慮して、遺産分割協議を行うこととなりますので、ご注意いただければと思います。

 

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※本記事は、編集部に届いた相続に関する経験談をもとに構成しています。個人情報保護の観点で、家族構成や居住地などを変えています。

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