開成高校は、通常、授業見学を受け入れていませんが、例外的に他校の教師を招いたことがありました。しかし、その授業風景を見た他校の教師は、怒り出してしまったそうです。一体なぜなのでしょうか。今回は、ハーバード大学、東京大学、開成高校のそれぞれで教鞭をとったベテラン教育者で、東京大学名誉教授・北鎌倉女子学園学園長の柳沢幸雄氏が、生徒の知識吸収を加速させる「アクティブ・ラーニング」について解説していきます。※本連載は、『「頭のいい子」の親がしている60のこと』(PHPエディターズ・グループ)より一部を抜粋・再編集したものです。
身になる教育とは、一体どんなものなのか
身になる教育とは、授けた知識がそれぞれの生徒の腹に入り消化され、アミノ酸になって再構成されて、それぞれの血となり肉となり、その生徒の力となって発揮される教育です。教師は、生徒に知識を頭の中で咀嚼させるための伝達技術を持っていることが重要
なのです。
小学校低学年の頃などは、先生が「わかる人?」「はーい!」などとやっていた。しかし、1年間に教えるべき知識が多くなる高学年、そして中高生になると、先生は時間が足りなくなってくることもあり、だんだん生徒を指さなくなっていく。すると、パッシブ・ラーニングになってしまう。
しかし、本来そこも、先生の技術でカバーすべきなのです。時間があまりないときはいたしかたなく、先生が思っていることを言いそうな生徒を指す。ただし、時間に余裕があるときは、何か突拍子もないことを言うような生徒を指す。そこから知識が発展し、教室がざわめき、議論が生まれ、面白くなっていく。
アクティブ・ラーニングは、教える側の技術もとても重要になります。一方通行の知識伝達が横広の教育だとすれば、アクティブ・ラーニングは縦深の教育といえるでしょう。
柳沢 幸雄
東京大学名誉教授
北鎌倉女子学園学園長
【関連記事】
税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
恐ろしい…銀行が「100万円を定期預金しませんか」と言うワケ
親が「総額3,000万円」を子・孫の口座にこっそり貯金…家族も知らないのに「税務署」には“バレる”ワケ【税理士が解説】
「儲かるなら自分がやれば?」と投資セミナーで質問すると
東京大学 名誉教授
北鎌倉女子学園 学園長
1947年生まれ。前・開成中学校・高等学校校長。東京大学名誉教授。開成高等学校、東京大学工学部化学工学科卒業。71年、システムエンジニアとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。74年退社後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、併任教授(在任中ベストティーチャーに複数回選出)、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年4月から2020年3月の9年間、開成中学校・高等学校校長を務める。2020年4月より北鎌倉女子学園学園長に就任。
シックハウス症候群、化学物質過敏症研究の世界的第一人者。自身も2人の男子を育て、小学生から大学院生まで教えた経験を持つ。
主な著書に『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』(秀和システム)、『東大とハーバード世界を変える「20代」の育て方』(大和書房)などがある。
著者プロフィール詳細
連載記事一覧
連載ハーバード・東大・開成で教えてわかった!「頭のいい子」の親の共通点