開成高校は、通常、授業見学を受け入れていませんが、例外的に他校の教師を招いたことがありました。しかし、その授業風景を見た他校の教師は、怒り出してしまったそうです。一体なぜなのでしょうか。今回は、ハーバード大学、東京大学、開成高校のそれぞれで教鞭をとったベテラン教育者で、東京大学名誉教授・北鎌倉女子学園学園長の柳沢幸雄氏が、生徒の知識吸収を加速させる「アクティブ・ラーニング」について解説していきます。※本連載は、『「頭のいい子」の親がしている60のこと』(PHPエディターズ・グループ)より一部を抜粋・再編集したものです。

かつて、生徒は授業中に発言してはいけなかった

かつては、授業中、先生が朗々と話をしていて、生徒がしゃべると「教室経営がう
まくいっていない」とみなされました。生徒は沈思黙考して先生のお話を集中して聞
くようにしましょう、それで管理維持できる人が優秀な教師です、と。

 

しかし、アクティブ・ラーニングを進める授業では、生徒の意見をどんどん引き出
し、それにまた別の生徒が答える、反論する、賛同する、という教室経営がよしとさ
れます。

開成の授業を見学に来た先生が驚愕したワケ

かつて、開成の授業を見学したいという学校の先生がいました。普段はお控えいた
だいているのですが、少し事情があって、例外的にお受けしたことがあります。2日連続で見学する計画で来られましたが、とにかく、開成の授業中は、生徒たちがうるさい。

 

2日目、どうにも耐えられなくなって、授業中にその先生は、

 

「静かにしろ!」

 

と怒鳴ってしまいました。教えている先生に対して失礼だと思ったのでしょう。

 

静かにしろ!(画像はイメージです/PIXTA)
静かにしろ!(画像はイメージです/PIXTA)

 

開成の授業は、たしかに本当にうるさいのです。「わかった!」と叫ぶ。先生に向かって「それ、違うんじゃないですか?」と、昔風に言えばたてつく。外部の先生から見れば「黙って聴いておけ、生意気だ」となるのでしょう。けれど、これこそがアクティブ・ラーニングなのです。


人は何か考えるとそれをアウトプットしたくなるものです。完全に受け身でかしこまっているときは、教えてもらったことが知識として入ってくるだけ。料理でいえば、好きも嫌いもおいしくも感じないものを、口に入れているだけです。

 

でも、おいしい料理だったら、「うまい!」と、つい叫びたくなるでしょう。

 

「こうしたら、もっとおいしくなる」

「このソースをかけたらもっとイケるんじゃないか」

 

とか、どんどん言いたくなるのが当たり前です。

 

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「頭のいい子」の親がしている60のこと

「頭のいい子」の親がしている60のこと

柳沢 幸雄

PHPエディターズ・グループ

これからの時代は「自分からの学び」を生み出すことが最大の力になります。 論理的に考える力、問題を解決する能力、世界を見据える力、リーダーシップ、そこから生まれる「生きる力」を身につけましょう。逆境に負けず、ど…

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