コロナ禍においては、学校の授業も従来の方法から変更を余儀なくされ、オンラインを導入するところが増えています。しかし、その学習効果を不安視する保護者は少なくありません。ハーバード大学、東京大学、開成高校のそれぞれで教鞭をとったベテラン教育者で、東京大学名誉教授・北鎌倉女子学園学園長の柳沢幸雄氏が、子どもたちの現状を伝えるとともに、不安を抱える親へアドバイスします。※本連載は、『「頭のいい子」の親がしている60のこと』(PHPエディターズ・グループ)より一部を抜粋・再編集したものです。

「国際」と名のつく学校の「国際度合い」を確認

最近では、「国際」と名前がつく中学校や高校が多くなりました。高校では、私立だけでなく、都立、県立などの公立にも多くなっていることに目を見張ります。どんなふうに「国際的」なのかは、学校によって違います。

 

授業の多くを英語で行う学校もありますし、帰国子女や留学してきた外国人生徒を多数受け入れる学校もあります。東京学芸大学附属大泉中学校は、現在東京学芸大学附属国際中等教育学校と名称を変えていますが(2007年より)、ここでは、生徒全体の約40%が帰国生徒または外国籍の生徒なのだそうです。

 

また、英語だけでなく、他の言語を学ぶ学校もあります。たとえば、東京都目黒区にある都立国際高校には、国籍も経歴もさまざまな生徒が入学してきます。英語圏以外の外国人の先生から、ドイツ語、フランス語、スペイン語、中国語、朝鮮語の各語が学べるそうです。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

また、国際人であるには、「日本の文化にも精通していなければならない」と考えて、日本の文化を身につけ、世界に発信できるような授業を設けている学校も多いようです。伝統芸能、伝統武術を学ぶなど、一般の高校では説明を受けるだけの文化を、実際に身体を動かして学べる授業を設けています。

 

まるでアメリカのジュニアハイスクール、ハイスクールの授業のような形式で学べる学校もあります。学校のホームページを見るだけではなかなかわからないので、学校説明会や見学に行ってみるといいでしょう。実際に学校を訪れてみる他に、新型コロナウイルス感染拡大以来、オンライン学校説明会が増えています。

 

動画で学校の方針や授業内容を発信しているところもありますから、家にいながら、お子さんと一緒に気軽にさまざまな「学校見学」をすることも可能です。

とにかく学費が高い「インターナショナルスクール」

インターナショナルスクールといえば、昔は日本に住む外国人の子どもたちが通う学校、というイメージでした。しかし、芸能人の子どもたちなどが通っているという情報が流れるようになり、日本で生まれ育った子も通えることがわかると、「英語で授業が受けられ、友達ともコミュニケーションできる」「国際的に育つ」ということで、入学を考える保護者も増えたようです。

 

こうした面を考えるとメリットは大きいですが、卒業資格や進学について知っておく必要があります。文部科学省も、注意点を示しています。

 

「いわゆるインターナショナルスクールについては、法令上特段の規定はありませんが、一般的には主に英語により授業が行われ、外国人児童生徒を対象とする教育施設であると捉えられています。

 

インターナショナルスクールの中には、学校教育法第1条に規定する学校(以下「一条校」といいます。)として認められたものがありますが、多くは学校教育法第134条に規定する各種学校として認められているか、又は無認可のものも少なからず存在しているようです。

 

一方、学校教育法第17条第1項、第2項には、学齢児童生徒の保護者にかかる就学義務について規定されています。そこでは保護者は子を『小学校、義務教育学校の前期課程又は特別支援学校の小学部』、『中学校、義務教育学校の後期課程、中等教育学校の前期課程又は特別支援学校の中学部』に就学させると規定されています。

 

よって、保護者が日本国籍を有する子を一条校として認められていないインターナショナルスクールに就学させたとしても、法律で規定された就学義務を履行したことにはなりません。(中略)例えば一条校でないインターナショナルスクールの小学部を終えた者が中学校から一条校への入学を希望してきても認められないこととなります。インターナショナルスクールの中学部の途中で我が国の中学校へ編入学を希望する場合も同様です。」(文部科学省ホームページより)

 

中学校から高校、高校から大学への進学も同様で、日本の学校の卒業資格がないので、入学もできないことになります。大学に関しては、大検を受けることが望まれる場合が多いですが、国際バカロレア認定校をはじめ、文部科学省に認められている学校では、学習指導要領に沿った学習内容を実施する中で、日本の学校の卒業資格と同様であると認めるところもわずかながらあります。

 

インターナショナルスクールの中にも、こうした学校がまったくないわけではありません。日本の大学に進学するという可能性があるなら、進学の条件などについては、必ず確かめるようにしましょう。学費を払いきれなくなると子どもの将来に支障が卒業資格に加えてもうひとつ、インターナショナルスクールに入学するなら覚悟しなければいけないことがあります。それは学費の高さです。

 

各種学校として登録されている学校に関しては、年間の学費が200万〜250万円というところがザラにあります。それを毎年重ねれば大変な額になります。「各種学校」だと、さまざまな補助金がほとんど受けられないので、どうしても学費が高くなるのです。

 

ですから、インターナショナルスクールの入学試験の面接では、入学希望者の英語力などに加え、保護者に学費の支払い能力があるかどうかも確かめられるようです。とはいえ、今のようなご時世で、保護者の方の仕事が立ちゆかなくなり、生活面で苦しくなる場合もあるでしょう。

 

そのようなときは義務教育期間については、市町村教育委員会に対して、文部科学省が「経済的な事情、居住地の変更等のやむを得ない事情により学齢児童生徒が実際的に未就学となるような状況が生じないようご留意ください」という意向を表しています。

 

やむを得ない事情があり、学費が支払えなくなった場合、地域の公立の学校に転入することを示しているのです。それにしても、できるだけ一度入った学校は卒業させてあげたいもの。インターナショナルスクールに子どもを入学させたいと思うのであれば、学校の組織について調べ、また学費の計画などもした上で、将来を見据えて落ち着いて決断することをすすめます。

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「頭のいい子」の親がしている60のこと

「頭のいい子」の親がしている60のこと

柳沢 幸雄

PHPエディターズ・グループ

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