「翻訳機できるから英語力は不要?」東大教授、目から鱗の反論

コロナ禍においては、学校の授業も従来の方法から変更を余儀なくされ、オンラインを導入するところが増えています。しかし、その学習効果を不安視する保護者は少なくありません。ハーバード大学、東京大学、開成高校のそれぞれで教鞭をとったベテラン教育者で、東京大学名誉教授・北鎌倉女子学園学園長の柳沢幸雄氏が、子どもたちの現状を伝えるとともに、不安を抱える親へアドバイスします。※本連載は、『「頭のいい子」の親がしている60のこと』(PHPエディターズ・グループ)より一部を抜粋・再編集したものです。

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英語学習は、とにかく触れている時間が長いことが重要

「英語はシャワーのように浴びるといい」とよく言いますが、私もそう思います。英語の学習は「質より量」と言われ、とにかく触れている時間が長いことが重要です。

 

リーディングで言えば、「多読」がすすめられているのもそれが理由です。せっかく時間を使うのですから、理解度高く学ぶことが大切です。たくさん触れても、その内容がまったくわからないのであれば、質も量も担保されません。

 

そこで、私がおすすめしたいのは、ひとつの物語を最初は平易な言葉と少ない語数で学び、だんだん語数を多く、難しい言葉も交えて学ぶラダー・エディション(階段編集)です。

 

たとえば、『ピーター・パン』の物語を読むとすると、最初は単語が300〜400語程度。これを何度か読んで、しっかり読めるようになったら、次に中学生レベルの1000語、その次は1300語、1600語、2000語と増やしていきます。

 

最初の300語のときに物語の内容を理解しているので、1000語、1300語と増えていっても、はじめての文章を読むよりリラックスできます。

 

「難しくて内容がわからない」というストレスがないだけでも、物語への親しみ、学習へのモチベーションにつながります。

 

開成の生徒たちも、このラダー・エディションを活用して、英語力を高めています。図書館には段階別、物語別の冊子が数多く用意され、頻繁(ひんぱん)に貸し出されています。

 

多読と聞くと身構えてしまい、「時間もないし、英語力もないから読めない」となってしまいがちですが、自分の実力で十分読めるものから始めればよいのです。

 

教材は、英語教材会社から各種出ていますので、お子さんと相談し、読みたい物語を選んで始めましょう。とにかく「読みたい」ものを読むことが大事。それこそが、英語を好きになる要因です。

英語民間試験は「自身の英語力の判断」に活用できる

中学生になると、英検やGTEC(ベネッセコーポレーションが実施する英語4技能検定)などの英語の民間試験を受けることが多くなります。

 

さらに、これらの民間試験は、2020年度から導入される大学入学共通テスト(共通テスト)での活用が予定されていました。ところが、この英語民間試験の活用は、見送られることになりました。

 

かねてから受験機会の不公平さを理由に延期を求める声が多く出ていましたが、萩生田(はぎうだ)光一文部科学相の「身の丈」発言が格差を助長するとして批判が集まりました。

 

結局、今後1年かけて新たな制度を検討し、2024年度からの実施を目指すことになりました。その際に、英語民間試験を導入するかどうかも白紙に戻された、というのが現状です。

 

しかし、大学入学共通テストに利用するにしてもしないにしても、こうした英語民間試験は受けておくといいと、私は思っています。高校受験や大学受験の推薦入試などにも、これらの成績を提出することが多く、自分の英語力がどの程度なのかを判断するにも、大いに活用できるからです。

 

級が上がったり、スコアが上がったりすれば、英語学習のモチベーションも上がります。その際には、どれかひとつの試験に絞って受けたほうがいい。同じ試験なら、一度受けたときの成績と次の成績を、自分の中で比べることができる。英検なら、そのランクをクリアしたら次のランクに向けて勉強する。武道の段位が上がるように、自分に対しての期待感が高まります。

 

私自身は、TOEFLRを受けたことがあります。何度か受けましたが、2回目が一番よかったです。短期間で3回、4回と受けても、あまり成績が上がりませんでした。他の人に聞いてみても、同じような結果でした。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

受験料もかかるし、成績が下がるとがっかりするので、お子さんには、がんばりすぎずに効率よく受けさせてあげるといいでしょう。

東京大学 名誉教授
北鎌倉女子学園 学園長 

1947年生まれ。前・開成中学校・高等学校校長。東京大学名誉教授。開成高等学校、東京大学工学部化学工学科卒業。71年、システムエンジニアとして日本ユニバック(現・日本ユニシス)に入社。74年退社後、東京大学大学院工学系研究科化学工学専攻修士・博士課程修了。ハーバード大学公衆衛生大学院准教授、併任教授(在任中ベストティーチャーに複数回選出)、東京大学大学院新領域創成科学研究科教授を経て、2011年4月から2020年3月の9年間、開成中学校・高等学校校長を務める。2020年4月より北鎌倉女子学園学園長に就任。

シックハウス症候群、化学物質過敏症研究の世界的第一人者。自身も2人の男子を育て、小学生から大学院生まで教えた経験を持つ。

主な著書に『母親が知らないとヤバイ「男の子」の育て方』(秀和システム)、『東大とハーバード世界を変える「20代」の育て方』(大和書房)などがある。

著者紹介

連載ハーバード・東大・開成で教えてわかった!「頭のいい子」の親の共通点

「頭のいい子」の親がしている60のこと

「頭のいい子」の親がしている60のこと

柳沢 幸雄

PHPエディターズ・グループ

これからの時代は「自分からの学び」を生み出すことが最大の力になります。 論理的に考える力、問題を解決する能力、世界を見据える力、リーダーシップ、そこから生まれる「生きる力」を身につけましょう。逆境に負けず、ど…

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