英語学習は、とにかく触れている時間が長いことが重要
「英語はシャワーのように浴びるといい」とよく言いますが、私もそう思います。英語の学習は「質より量」と言われ、とにかく触れている時間が長いことが重要です。
リーディングで言えば、「多読」がすすめられているのもそれが理由です。せっかく時間を使うのですから、理解度高く学ぶことが大切です。たくさん触れても、その内容がまったくわからないのであれば、質も量も担保されません。
そこで、私がおすすめしたいのは、ひとつの物語を最初は平易な言葉と少ない語数で学び、だんだん語数を多く、難しい言葉も交えて学ぶラダー・エディション(階段編集)です。
たとえば、『ピーター・パン』の物語を読むとすると、最初は単語が300〜400語程度。これを何度か読んで、しっかり読めるようになったら、次に中学生レベルの1000語、その次は1300語、1600語、2000語と増やしていきます。
最初の300語のときに物語の内容を理解しているので、1000語、1300語と増えていっても、はじめての文章を読むよりリラックスできます。
「難しくて内容がわからない」というストレスがないだけでも、物語への親しみ、学習へのモチベーションにつながります。
開成の生徒たちも、このラダー・エディションを活用して、英語力を高めています。図書館には段階別、物語別の冊子が数多く用意され、頻繁(ひんぱん)に貸し出されています。
多読と聞くと身構えてしまい、「時間もないし、英語力もないから読めない」となってしまいがちですが、自分の実力で十分読めるものから始めればよいのです。
教材は、英語教材会社から各種出ていますので、お子さんと相談し、読みたい物語を選んで始めましょう。とにかく「読みたい」ものを読むことが大事。それこそが、英語を好きになる要因です。
英語民間試験は「自身の英語力の判断」に活用できる
中学生になると、英検やGTEC(ベネッセコーポレーションが実施する英語4技能検定)などの英語の民間試験を受けることが多くなります。
さらに、これらの民間試験は、2020年度から導入される大学入学共通テスト(共通テスト)での活用が予定されていました。ところが、この英語民間試験の活用は、見送られることになりました。
かねてから受験機会の不公平さを理由に延期を求める声が多く出ていましたが、萩生田(はぎうだ)光一文部科学相の「身の丈」発言が格差を助長するとして批判が集まりました。
結局、今後1年かけて新たな制度を検討し、2024年度からの実施を目指すことになりました。その際に、英語民間試験を導入するかどうかも白紙に戻された、というのが現状です。
しかし、大学入学共通テストに利用するにしてもしないにしても、こうした英語民間試験は受けておくといいと、私は思っています。高校受験や大学受験の推薦入試などにも、これらの成績を提出することが多く、自分の英語力がどの程度なのかを判断するにも、大いに活用できるからです。
級が上がったり、スコアが上がったりすれば、英語学習のモチベーションも上がります。その際には、どれかひとつの試験に絞って受けたほうがいい。同じ試験なら、一度受けたときの成績と次の成績を、自分の中で比べることができる。英検なら、そのランクをクリアしたら次のランクに向けて勉強する。武道の段位が上がるように、自分に対しての期待感が高まります。
私自身は、TOEFLRを受けたことがあります。何度か受けましたが、2回目が一番よかったです。短期間で3回、4回と受けても、あまり成績が上がりませんでした。他の人に聞いてみても、同じような結果でした。
受験料もかかるし、成績が下がるとがっかりするので、お子さんには、がんばりすぎずに効率よく受けさせてあげるといいでしょう。