認知機能が正常範囲にあっても、一定以上の記憶障害を示すグレーゾーン(正常と認知症の中間に位置づけ)とされる軽度認知機能障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)が注視されています。今回は、医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長の梶川博氏、医学博士である森惟明氏の共書

MCI患者は、将来必ず認知症を発症するわけではない

MCI患者が将来必ず認知症を発症するかといえば、そうではありません。そのような予測は社会にいたずらに不安を与えるだけなので、長期的な医学的検証や個々の患者の個人的な価値観など検討をして、エビデンスに基づいた疾患概念(evidence based medicine)や物語と対話に基づく医療(narrative-based medicine)の確立が待たれます。

 

検診において、単にMini-Mental State Examination(MMSE)などの点数が基準値(cut-off値)以上であるから認知症ではないと判断するのではなく、臨床場面でアルツハイマー型認知症などが強く疑われる際には、専門医による神経心理学的検査や脳画像検査、バイオマーカー検査などを早期に行うことが、早期発見の方法として望ましいと考えられています。

 

アミロイドPET検査、タウPET検査、脳脊髄液バイオマーカー検査(総タウ蛋白、リン酸化タウ蛋白、アミロイドβ42)で脳内のアミロイドやタウ蛋白の蓄積状態が分かり診断に有用ですが、検査できる施設は未だ少ないのが現状です。

 

MCIと診断された後に認知機能は正常だと判定された人(リバーター:開放者)の割合(リバート率)は、14~44%と報告により大きな幅があります。リバーターには、うつが改善した人のほか、診断を契機に脳活性化プログラムを取り入れたりして生活習慣を見直した人などがいます。

 

認知機能の低下を予防するための非薬物的アプローチ(生活習慣病や食生活の改善の指導、運動や知的活勤などの奨励)は、MCIの全患者に導入されるべきです。

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