
実は認知症のタイプにより症状や経過が少しずつ異なり、経過も治療も予後も介護の仕方も違ってきます。正しい診断を受けているか判断するためにも、認知症についての知識を深めておく必要があります。今回は、医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長の梶川博氏、医学博士である森惟明氏の共書『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、「前頭側頭型認知症」について詳しく見ていきましょう。
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人格の変化が特徴的な「前頭側頭型認知症」
三大認知症(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、血管性認知症)と前頭側頭型認知症(ピック病を含むfrontotemporal dementia:FTD)を併せて「四大認知症」と呼ぶことがあります。頻度はアルツハイマー型認知症の1/10以下(数%)です。65歳以下(40~60代)の発症が多く、性差はありません。ときに家族歴を有することがあります。

アルツハイマー型認知症では、大脳皮質全体に障害が起こるのと比べ、ピック病(Pickʼs disease)では文字通り脳の前頭葉と側頭葉に障害(萎縮)が起こります。
なお、ピック病(最初に症例報告したアーノルド・ピック医師に由来)は前頭側頭型認知症の代表疾患ですが、ピック病は病理学的にピック球(ピック小体)を認めるものと定義されました。
異常にリン酸化したタウ蛋白が蓄積します(タウオパチー:tauopathy)。ピック病の症状は前頭側頭型認知症のそれと同様であることから前頭側頭型認知症の原型と考えられます。


最近の診断基準(Rascovsky Kらにより2011年に発表)では、臨床的には異常行動を中心とする行動障害型前頭側頭型認知症(behavioral variant FTD:bvFTD)と言語障害(喚語困難、反響言語、文法の誤りなど)を主体とする言語障害型前頭側頭型認知症に分類されました。