医師は「認知症」をどのように診断するのか?
医師(主治医、かかりつけ医、認知症専門医、認知症サポート医)は問診、心理検査、血液検査・尿検査、画像検査を行って、認知症の診断を確定してから治療を行います。認知症診療のアルゴリズム(問題を解決するための方法や手順)は確立されつつあります。
つまり、各種のガイドライン、マニュアル、質の高いエビデンスが充実しつつあるのです。問診では、いつ頃からもの忘れがあるのか、生活の様子、生活のどんなところに支障があるのかを本人や家族から聴き取ります。記憶・知能に関する心理検査は、記憶力・理解力の障害の程度を検査します。
血液検査・尿検査は認知症を引き起こす身体的疾患の有無を調べます。微量(0.5ml)血液でアミロイドβの脳蓄積を調べる検査法も開発されたとの報道もあります。画像検査は、脳に萎縮や梗塞、腫瘍などはないか、慢性硬膜下血腫や特発性正常圧水頭症はないか、脳の血流、酸素消費量、ブドウ糖取込から脳のどの部分がどのくらい活動しているかを調べます。
神経心理検査:脳の働きから程度や経過を評価する
認知症の診断には、認知機能の評価が不可欠であり、現在、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、ミニ・メンタルステート検査(MMSE)、時計描画検査(クロック・ドローイングテスト)が一般的によく使用されています。
これらはいずれも認知症のスクリーニングとして、あるいは診断された認知症の程度や経過を評価するために用いられるものであり、それのみで認知症の診断を確定することはできません。
高齢者総合的機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)のための項目には、日常生活動作(Barthel Index)、Instrumental ADL(IADL)、認知機能、行動障害(Dementia Behavior Disturbance Scale:DBD認知行動障害尺度)、情動(うつ状態)、意欲(Vitality Index)、介護負担(Zarit負担インタビュー)、栄養状態(Mini Nutritional Assessment:MNA)などがあります。
行動・心理症状(BPSD:周辺症状、前述)評価に神経精神症状情報詳細(Neuropsychiatric Inventory:NPIスコア)やうつ症状の評価にモンゴメリー・アスペルグ式スケール(MADRS)も使用されます。軽度認知障害(MCI)の患者さんには難しい課題の知能検査もあります。
改訂長谷川式簡易知能評価スケール:記憶力を確認する
長谷川式スケールとは、聖マリアンナ医科大名誉教授の長谷川和夫氏が、1974年に考案した知能評価(記憶力を見る)テストのことで、1981年に改訂され、その正式名称は「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」というものです。
このテストは、主に記憶力を中心とした認知機能障害の有無をおおまかに知ることを目的とした検査方法で、MMSE検査同様、実際の医療現場で広く使われています。我が国では利用例が多く、見当識、記憶など9項目からなり30点満点で評価されます。20点以下が認知症の疑いありとなっています。
アルツハイマー型認知症では1年ごとに平均2~3点下がってくるとされています。ちなみに、映画『明日の記憶』(2005年)で、精神科医役の及川光博さんが認知症患者役の渡辺謙さんに対して実施したペーパーテストは、この長谷川式スケールでした。
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