「あれ!? 手でキツネの形が作れない…」それって認知症かも

実は認知症のタイプにより症状や経過が少しずつ異なり、経過も治療も予後も介護の仕方も違ってきます。正しい診断を受けているか判断するためにも、認知症についての知識を深めておく必要があります。今回は、医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長の梶川博氏、医学博士である森惟明氏の共書『改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、認知症の検査方法について詳しく見ていきましょう。

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医師は「認知症」をどのように診断するのか?

医師(主治医、かかりつけ医、認知症専門医、認知症サポート医)は問診、心理検査、血液検査・尿検査、画像検査を行って、認知症の診断を確定してから治療を行います。認知症診療のアルゴリズム(問題を解決するための方法や手順)は確立されつつあります。

 

つまり、各種のガイドライン、マニュアル、質の高いエビデンスが充実しつつあるのです。問診では、いつ頃からもの忘れがあるのか、生活の様子、生活のどんなところに支障があるのかを本人や家族から聴き取ります。記憶・知能に関する心理検査は、記憶力・理解力の障害の程度を検査します。

 

血液検査・尿検査は認知症を引き起こす身体的疾患の有無を調べます。微量(0.5ml)血液でアミロイドβの脳蓄積を調べる検査法も開発されたとの報道もあります。画像検査は、脳に萎縮や梗塞、腫瘍などはないか、慢性硬膜下血腫や特発性正常圧水頭症はないか、脳の血流、酸素消費量、ブドウ糖取込から脳のどの部分がどのくらい活動しているかを調べます。

 

脳のどの部分がどれくらい活動している?(画像はイメージです/PIXTA)
脳のどの部分がどれくらい活動している?(画像はイメージです/PIXTA)

神経心理検査:脳の働きから程度や経過を評価する

認知症の診断には、認知機能の評価が不可欠であり、現在、改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)、ミニ・メンタルステート検査(MMSE)、時計描画検査(クロック・ドローイングテスト)が一般的によく使用されています。

これらはいずれも認知症のスクリーニングとして、あるいは診断された認知症の程度や経過を評価するために用いられるものであり、それのみで認知症の診断を確定することはできません。

高齢者総合的機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment:CGA)のための項目には、日常生活動作(Barthel Index)、Instrumental ADL(IADL)、認知機能、行動障害(Dementia Behavior Disturbance Scale:DBD認知行動障害尺度)、情動(うつ状態)、意欲(Vitality Index)、介護負担(Zarit負担インタビュー)、栄養状態(Mini Nutritional Assessment:MNA)などがあります。

 

行動・心理症状(BPSD:周辺症状、前述)評価に神経精神症状情報詳細(Neuropsychiatric Inventory:NPIスコア)やうつ症状の評価にモンゴメリー・アスペルグ式スケール(MADRS)も使用されます。軽度認知障害(MCI)の患者さんには難しい課題の知能検査もあります。

改訂長谷川式簡易知能評価スケール:記憶力を確認する

長谷川式スケールとは、聖マリアンナ医科大名誉教授の長谷川和夫氏が、1974年に考案した知能評価(記憶力を見る)テストのことで、1981年に改訂され、その正式名称は「改訂長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)」というものです。

 

このテストは、主に記憶力を中心とした認知機能障害の有無をおおまかに知ることを目的とした検査方法で、MMSE検査同様、実際の医療現場で広く使われています。我が国では利用例が多く、見当識、記憶など9項目からなり30点満点で評価されます。20点以下が認知症の疑いありとなっています。

 

アルツハイマー型認知症では1年ごとに平均2~3点下がってくるとされています。ちなみに、映画『明日の記憶』(2005年)で、精神科医役の及川光博さんが認知症患者役の渡辺謙さんに対して実施したペーパーテストは、この長谷川式スケールでした。

 

[図表1]改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS‒R)

 

「長谷川式簡易知能評価スケール」のテストにおいて、難聴者検査時に用いる質問カードの例。難聴者に対して検査をするときは、このような質問カードを見せて検査を行います。画像は、質問2と質問6の質問カード。
[図表2]質問カードの例 「長谷川式簡易知能評価スケール」のテストにおいて、難聴者検査時に用いる質問カードの例。難聴者に対して検査をするときは、このような質問カードを見せて検査を行います。画像は、質問2と質問6の質問カード。

 

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医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター会長
日本脳神経外科学会認定専門医
日本脳卒中学会認定専門医
日本神経学会・日本認知症学会会員
広島県難病指定医、
広島県「もの忘れ・認知症相談医(オレンジドクター)
日本医師会&広島県医師会
日本医療法人協会&全日本病院協会広島県支部所属。

広島県広島市出身 1957年修道高等学校卒業、1963年京都大学医学部卒。

1964 聖路加国際病院でインタ−ン修了、医師国家試験合格、アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格、1968年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。
1970年広島大学第二外科・脳神経外科(助手)、1975年大阪医科大学第一外科・脳神経外科(講師、助教授)。
1976年ニューヨーク モンテフィオーレ病院神経病理学部門(平野朝雄教授)留学。1980年梶川脳神経外科病院(現医療法人翠清会・翠清会梶川病院、介護老人保健施設、地域包括支援センター)開設。医学博士。1985年槇殿賞(広島医学会会頭表彰)、1996年日本医師会最高優功賞。

著者紹介

医学博士

大阪府立北野高校を経て、1961年京都大学医学部卒。大阪北野病院でインタ−ン修了。

1961年アメリカ合衆国臨床医学留学のためのECFMG試験合格。
1967年京都大学大学院修了(脳神経外科学)医学博士。1968年日本脳神経外科学会認定医。1969年京都大学脳神経外科助手。
1971年シカゴノースウエスタン大学脳神経外科レジデント。1975年京都大学脳神経外科講師。1979年京都大学脳神経外科助教授。1981年高知医科大学(現高知大学医学部)脳神経外科初代教授。
1992〜1999年厚生省特定疾患難治性水頭症調査研究班班長。1992年第2回高知出版学術賞受賞。
1996〜2000年高知県医師会理事。1999〜2001年国際小児神経外科学会倫理委員会委員長。
2000〜2001国際小児神経外科機関誌「Child's Nervous System」編集委員。2000年高知大学名誉教授。著書多数。

著者紹介

連載認知症に負けないために 知っておきたい、予防と治療法

改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法

改訂版 認知症に負けないために知っておきたい、予防と治療法

梶川 博、森 惟明

幻冬舎メディアコンサルティング

「脳梗塞・認知症・運動器症候群」 三大疾患 徹底解説シリーズの改訂版! 三大疾患「脳梗塞・認知症・運動器症候群(ロコモ)」を治療・予防することで「寝たきり」と「認知機能低下」を防ぎ、高齢者が自立して健やかな老後…

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