本記事は、書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

年金は「投資」によって運用されている…そんな折…

もう一つ、皆さんが間接的に「投資」に回しているお金があります。それは年金です。あなたが加入している年金は、あなたから毎月、一定額を掛け金として徴収しているはずです。実は、これらの資金は全員分が一つにまとめられて「投資」によって運用されています。分かりやすくいえば、株式や債券の購入をしています。

 

そんな危険なことを、と思う人がいるかもしれませんが、年金資金を「投資」で運用するのは、どこの国でも行っている当たり前のことです。なぜなら、経済成長に伴って物価は上昇していくものですから、年金資金もそれに伴って増やしていかなければ、将来の給付ができなくなってしまうからです。そのため、インフレに強い株式や、基本的には元本保証で安全に増やせる債券などの「投資」商品をバランスよく購入しています。

 

もちろん、年金は国の制度ですから、建前上は国が補償することにはなっています。しかし、ただでさえ破綻が懸念されている年金で、はたして十分な補償が受けられるものでしょうか。現実には、運用できた範囲内で、あるいは国家予算の許す範囲内での給付にならざるを得ません。

 

(※写真はイメージです/PIXTA)
(※写真はイメージです/PIXTA)

 

あなたの支払っている年金掛け金が毎年増額されていることや、平成25年度から老齢厚生年金(報酬比例部分)の受給開始年齢が、60歳から65歳へと段階を踏んで引き上げられることになったこと、そして年金財政の悪化に伴い給付金の水準を減額することができるマクロスライド制が導入されたことなどを考えると、年金機構による「投資」の失敗は、税金による補塡も含めて、私たちが負わねばならないものと考えたほうがいいでしょう。

 

また、2012年のAIJ投資顧問株式会社による企業年金消失事件も記憶に新しいところです。この事件は、企業年金の運用を委託されていたAIJ投資顧問が、企業から預かったお金の運用に失敗し、資金の大部分を失いながらも、損失を隠すために粉飾決算を続け、顧客に対しては「240%の運用利回りを確保している」などと虚偽の説明を行い、損失を補塡するために、さらに企業年金の運用を受託していた詐欺事件です。

 

日本の年金制度は、一般に3階建てになっていて、国が資金の半分を拠出する1階の国民年金部分、そして企業が資金の半分を拠出する2階の厚生年金部分、ここまでは年金機構によって資金が運用されています。しかし、さらに年金を充実させたい企業は、3階部分として独自の企業年金を用意して運用しています。AIJ投資顧問は、この企業年金の運用を委託されていましたが、運用に失敗して資金を失ってしまったわけです。

 

もちろん、企業年金の運用の失敗は企業の責任ですから、企業が損失を補塡することにはなるでしょう。しかし、企業の負担とはすなわち従業員の負担でもあります。年金の運用の失敗は、いずれにしろ最終的には年金を受給する私たちの肩にのしかかってくるものなのです。

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    本連載は、2014年7月29日刊行の書籍『インフレ時代の投資入門』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

    インフレ時代の投資入門

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