板によって「市場の動向」を察知する
さて、このように価格ごとの売り注文数と買い注文数がわかる「板」からは、様々な情報を読み取ることができます。
たとえば、銘柄Aの株価はすぐ297円になりそうです。
また、301円までの売気配株数が合わせて7,200株なのに対して、292円までの買気配株数が9,200あります。買い注文の方が多いので、株価が上昇していく可能性が高そうだといえます。
このように、板を読むことによって、市場の動向を察知することが可能なのです。
ただし、指値注文はすぐに取り消したり変更したりできるため、一気に板の状況が変わることもありますので、その点にも注意が必要です。
板を読んで「緻密な注文」を出す
また、板を読むことによって、1円も無駄にしない緻密な注文を出すことが可能になります。
たとえば、銘柄Aを成行で売れば、おそらく296円で売買が成立するでしょう。しかし、301円から292円の範囲では買い注文数よりも売り注文数の方が多いため、299円や300円あたりの指値売りをすれば、売買が成立する可能性が十分にあります。
この場合、成行注文と比べて1株当たり3円から4円高く売れることになりますが、売り株数が100株ならば300円から400円、500株ならば1,500円から2,000円、1,000株ならば3,000円から4,000円得をすることになります。
また、1,000株を売買する場合に、板の状況を見ながら100株ずつ指値で注文を出し、平均売買価格をコントロールするという手法も可能です。
株の売買においては、1円の違いも馬鹿にできません。特に売買の金額と回数が多くなればなるほど、その違いが大きくなっていくのです。
ですから、板を読んで緻密な注文を出すことにより、成行での売買や、板を見ない安易な指値での売買よりも、多くの利益を得ることが可能なのです。
ただし、損切りの時や、買いのチャンスを絶対に逃がせない時などには、とにかく素早く売買することが求められますので、その場合は成行注文が適しているといえるでしょう。
■まとめ
板は株売買時の重要な情報の1つ
板は、売り注文数と買い注文数を価格ごとに並べて一覧できる情報です。板を読むことで、市場の動向を察知することができますし、それに合わせた緻密な注文を出すことも可能になります。
ただし、板の状況は一気に変わることもあるので、その点にも注意が必要です。