株式投資ではさまざまな図表があり、それらを分析して売買を行っていますが、初心者はそれらをどのように見ればいいのか、どのように活かしていいかわからずに、何となく株式投資に挑んでいるケースも珍しくありません。そこで今回は、株式投資においても重要な「板」の情報の見方と利用法について解説していきます。※本連載では、AI技術を用いた株価予測ソフトを開発する、株式会社ソーシャルインベストメントでトレーダーとして活躍する川合一啓氏が、個人投資家が株式市場で勝ち続けていくための極意について説明していきます。

板によって「市場の動向」を察知する

さて、このように価格ごとの売り注文数と買い注文数がわかる「板」からは、様々な情報を読み取ることができます。

 

たとえば、銘柄Aの株価はすぐ297円になりそうです。

 

また、301円までの売気配株数が合わせて7,200株なのに対して、292円までの買気配株数が9,200あります。買い注文の方が多いので、株価が上昇していく可能性が高そうだといえます。

 

このように、板を読むことによって、市場の動向を察知することが可能なのです。

 

ただし、指値注文はすぐに取り消したり変更したりできるため、一気に板の状況が変わることもありますので、その点にも注意が必要です。

 

板を読んで「緻密な注文」を出す

また、板を読むことによって、1円も無駄にしない緻密な注文を出すことが可能になります。

 

たとえば、銘柄Aを成行で売れば、おそらく296円で売買が成立するでしょう。しかし、301円から292円の範囲では買い注文数よりも売り注文数の方が多いため、299円や300円あたりの指値売りをすれば、売買が成立する可能性が十分にあります。

 

この場合、成行注文と比べて1株当たり3円から4円高く売れることになりますが、売り株数が100株ならば300円から400円、500株ならば1,500円から2,000円、1,000株ならば3,000円から4,000円得をすることになります。

 

また、1,000株を売買する場合に、板の状況を見ながら100株ずつ指値で注文を出し、平均売買価格をコントロールするという手法も可能です。

 

株の売買においては、1円の違いも馬鹿にできません。特に売買の金額と回数が多くなればなるほど、その違いが大きくなっていくのです。

 

ですから、板を読んで緻密な注文を出すことにより、成行での売買や、板を見ない安易な指値での売買よりも、多くの利益を得ることが可能なのです。

 

ただし、損切りの時や、買いのチャンスを絶対に逃がせない時などには、とにかく素早く売買することが求められますので、その場合は成行注文が適しているといえるでしょう。

 

■まとめ

板は株売買時の重要な情報の1つ

 

板は、売り注文数と買い注文数を価格ごとに並べて一覧できる情報です。板を読むことで、市場の動向を察知することができますし、それに合わせた緻密な注文を出すことも可能になります。

 

ただし、板の状況は一気に変わることもあるので、その点にも注意が必要です。

 

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