親族間でトラブルに発展しやすい「遺産分割」。今回は、実例を基に、遺産の一部分割後、残余の遺産の分配を変更できるのかについて解説します。

遺産の一部分割後、兄と仲違い…残余遺産はどうなる?

Q.親が亡くなり、相続人は兄弟二人です。私は弟です。

 

遺産は預金が2000万円と親の実家の不動産のマンションが一戸(評価額は約2000万円)という状況です。マンションについては、いつ売れるかわからないので、とりあえず預金についてだけ、兄弟で分けるということになりました。

 

兄が親と同居して面倒を見てくれていたので、私は預金は兄がすべて相続するということで了承し、不動産については売れたお金を2分の1ずつの相続分で分ければよいと考え、預金については、兄がすべて取得するという内容での遺産の一部分割を行いました。

 

しかし、その後、兄と不仲になりましたので、やっぱり法定相続分通りに分けるべきだと考えるようになりました。法定相続分を考えれば、遺産の一部分割で兄が預金をすべて取得したのですから、私はマンションの売却代金をすべて取得するのが公平だと考えています。

 

このような話の進め方は可能でしょうか。

 

一度は合意したけれど…(画像はイメージです/PIXTA)
一度は「2分の1ずつ」に合意したけれど…(画像はイメージです/PIXTA)

 

A.遺産の一部分割については、遺産が不動産や株など多岐にわたり全体の分割をするとなると時間がかかる場合や、一部の遺産の分割方法(不動産)についてだけ争いがあるものの、その他の遺産については特に争いがなく分けてしまうことが可能な場合などに、よく行われています。

 

しかし、遺産の一部を分割した場合、残余の遺産についてどのように分割すべきかという点について、しっかり決めておかないと、本件のように後々問題が生じることがあります。

残余遺産については「一部分割協議書への明記」が肝要

遺産の一部分割と残余遺産への影響については

 

①一部分割は残余の遺産分割に影響を与えない(一部分割の遺産は全く存在しないものとして残余の遺産分割を行う)

②一部分割した遺産と残余の遺産をトータルで計算して、各相続人が法定相続分(もしくは合意した相続分)を取得できるよう残余の遺産分割を行う

 

の2つのパターンが考えられるところであり、一部分割を行う場合は、上記のいずれかを行うかを一部分割協議書に明記しておくことが肝要です。

 

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