白内障手術の前に知っておきたい「人工レンズ」の種類と性能

白内障とは、加齢によって目の中でカメラのレンズのような役割を担う水晶体が白く濁り、視力が低下する病気です。60代で約半数、80代に至ってはほぼ全員が、程度の差こそあれ白内障にかかります。高齢化に伴い、今や「目の国民病」と言っても過言ではないこの病気について、眼科専門医が症状と治療法を平易に解説します。※本記事は『図解 白内障かなと思ったら読む本』(幻冬舎MC)から抜粋・再編集したものです。

「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」

眼内レンズは、合う焦点(距離)が一つか複数かで「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の大きく2つに分けられます。

 

さらに多焦点眼内レンズは、合う焦点(距離)の数や特性により、二焦点、三焦点、焦点深度拡張型などのタイプがあります。

 

現在の日本の保険制度では、単焦点眼内レンズのみ公的保険の適用です。多焦点眼内レンズは自費ですが、2020年3月までは高度先進医療でした。2020年4月以降は手術の技術料は公的保険の対象となり、レンズ代のみ別に自費で支払う「選定療養」というシステムに変わりました。眼科によっては手術の技術料とレンズ代をまとめて自費治療とするところもありますが、いずれもあまり費用の差はないでしょう。

 

多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の場合、施設によって異なりますが、片眼数十万円と費用がかかってきます。

 

[図表3]焦点の結び方

単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの見え方の違い

単焦点眼内レンズは、一つの距離にしかピントが合いません。例えば、50㎝の距離のものが良く見えるようなレンズを入れると、パソコン作業にはいいかもしれませんが、テレビや街の看板など数メートル離れたところのものはぼやけてしまいます。運転にも眼鏡が必要です。

 

一方、2~3m先がよく見えるようなレンズにすると、テレビを見るにはいいかもしれませんが、手元にはピントが合いません。水晶体も、加齢とともに調節機能が衰え、老眼が進み、やがて一つの距離にしかピントが合わなくなります。単焦点眼内レンズの見え方は、ひどい老眼と同じ状態といえます。

 

それに対し多焦点眼内レンズは、複数の距離にピントを合わせることができます。今まで、遠近両用の老眼鏡をかけたことがある人は、その眼鏡が眼の中に入ったようなものなので、イメージしやすいかもしれません。二焦点であれば遠くと近く、三焦点であればそれに加え中間距離にもピントが合うよう作られています。

 

[図表4]見え方の違い

医療法人 iMEDICAL 川原眼科 理事長 眼科専門医

九州大学医学部卒業後、大学病院で臨床経験を積んだのち九州大学大学院で研究。その後、麻生飯塚病院、九州大学病院病棟主任、国立病院機構小倉医療センター 眼科医長に就任。VA Greater Los Angeles Healthcare System に留学し、アメリカの眼科臨床を体感。

平成28年に川原眼科を開院。臨床経験を重ねて培ったノウハウで、白内障や網膜硝子体疾患の手術治療を得意としている。「メガネ・コンタクトレンズ販売店」を併設し、子どもから高齢者まで対応することのできる地域に根差した快適な眼科を目指す。

常に患者第一、最新最良の医療を提供することをモットーとしている。平成31年医療法人iMEDICAL開設、分院である川原眼科久山クリニック開院。

著者紹介

連載その症状、「白内障」のサインかも?病気の実態とメカニズム

図解 白内障かなと思ったら読む本

図解 白内障かなと思ったら読む本

川原 周平

幻冬舎メディアコンサルティング

目がかすむ、眩しい、ダブって見える…。その症状、白内障かもしれません。 いまや「目の国民病」といっても過言ではない白内障ですが、近年では精密な器具の開発等により、手術の安全性は高まっています。 とはいえ、納…

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