恐ろしい…「駅から3分」で物件を選んだ末路
物件の立地条件として、駅から近いというのは確かに理想的です。しかし、駅からの距離というのは物件を選ぶ時の一つの要素に過ぎず、駅から近いからといって収益性が高いわけでもなければ資産性があるわけでもありません。そのことをよく注意すべきです。
サラリーマンで不動産投資をスタートする人が、物件選定で間違ってしまいがちな基準が3つあります。
一つは、「金利が低いから購入する」、2つ目は「建物が新しいから購入する」3つ目は「駅から近いから購入する」という3つです。これまで紹介したように、金利がいくら低くても、収益性や資産性が低い物件に投資することになれば、純資産は増えません。建物が新しくても家賃と建物評価が同時に下がるので、売却時期を見極めないと純資産が増えません。それと同じように、駅から3分の物件でも投資に値しない物件は山ほどあります。
例えば、こんな話があります。
ある私鉄の特急の停車駅から徒歩3分のアパートを購入した、サラリーマン投資家がいました。内見した時には全10室のうち2室が空室になっていたそうです。立地の強みもあったので、空室になってもすぐに埋まるだろうという考えで、購入を決定しました。
ところが、中々空室は埋まらず、それどころか逆に大口の法人の契約も切れて、空室が一気に5室になってしまいました。広告料を半年分出すことにしましたが、それでも埋まらない状況が続きました。
広告料を上乗せしても空室が埋まらない理由は、物件のあるエリアの家賃が毎月のようにどんどん下がり続けていたからです。結局、家賃を購入当初の半額まで落として、やっと3室を埋めたそうです。
なぜいつまでたっても空室が埋まらなかったのか? それはそのエリアの入居者にとって駅近にメリットが全くなかったからです。実はその停車駅には大学が3つありました。その大学が学校で寮を運営することになり、入居需要がそちらに流れてしまったそうなのです。また、学生以外に工場で働く人の入居需要もありましたが、なんと工場が閉鎖され、工場で働いていた人の賃貸需要がゼロになってしまったそうです。
駅から3分でも、そもそも入居需要がなければ駅近のメリットは活かせません。むしろ、駅から徒歩15分でもそれ以外の要因が優れていれば、そちらに投資をした方がいいでしょう。「駅近」と「金利」と「新築」の魔力に惑わされてはいけません。駅近は不動産投資をする上で有利なことは確かです。しかし、駅から3分でも賃貸需要がないところもあります。
それは、そもそも駅の乗降客数が少ないという問題です。乗降客数は投資に値するギリギリで1日2万人ぐらいです。それ以下の乗降客数だと賃貸需要が特定の要因に依存することになります。投資環境が大きく変わりやすく、その結果、物件の収益性、資産性が大きく低下するので初心者には不向きな物件です。
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