「売値1000円」だけど…利益率の思わぬ落とし穴
■利益率が高いほどダメージも小さい
利益率が高い仕事を選ぶのも、リスクを抑えるのに有効です。事業として安定させていくうえで利益が重要なのは誰もが分かっていることだろうと思います。
そして、利益について考える時、ほとんどの人が利益率ではなく利益額を考えます。
月100万円の利益を生み出す商品を売る仕事のほうが、月50万円の利益を生み出す商品を売る仕事よりもすごいと考えるのは、利益の額を重視する分かりやすいパターンです。
ただし、そこには落とし穴があります。
例えば、売値1000円、原価が900円の商品で月100万円稼ぐとしましょう。一個あたりの利益は100円ですから、月100万円稼ぐためには1万個売る必要があります。月2万個売れば200万円、3万個売れば300万円の利益が生まれる計算です。
しかし、資本力や規模が小さい個人にそのような事業展開ができるかどうか。原価が900円の商品を1万個仕入れるコストは900万円です。これが2万個になれば1800万円、3万個になれば2700万円と膨れ上がります。
こうして動くお金が高額になれば、愛されフリーランスを目指すうえでは、かなりハイリスクな状態になります。数千万円もの資金が準備できたとしても、売れなかった時に大量の不良在庫を抱えることになるからです。
では、売値1000円、原価500円で月50万円の利益を出す場合はどうでしょうか。1個あたりの利益は500円と、原価900円の商品の5倍です。
そのため、月1000個売れれば月50万円の利益になります。販売数で比べると原価900円の商品の10分の1で済みますし、1万個売れた時の利益は、原価900円の商品が前述のとおり100万円であるのに対し、原価500円の商品は500万円にもなります。
また、仕入れ値で比較しても、原価900円の商品で月100万円稼ぐためには900万円の仕入れコストがかかります。一方、原価500円の商品は1000個売ればよいわけですから、50万円稼ぐための仕入れ値は50万円で済みます。
仕入れた商品が不良在庫化した場合の損失も、原価が安いほど小さくなります。1万個仕入れた時の損失は原価900円の場合は最大900万円ですが、原価500円の場合は最大500万円です。すなわち、原価が安く、利益率が高い事業のほうが、より低リスクで、続けやすい事業であるといえます。