「楽しいだけの仕事などない」と諦めていませんか
■疲れて寝落ちするくらい没頭できる仕事を選ぶ
本連載では、愛されフリーランスを目指すうえで、どのように仕事を探すべきかを考えてみます。フリーランスには条件も制限もありませんから、何をするのも自由です。しかし、愛されフリーランスになるためには、自分にとって相性のいい仕事、没頭して取り組める仕事を見つけることが何より重要になります。
愛されフリーランスとして仕事を続けていく中では、苦労や困難もたくさん出てきます。それらを乗り越えるためには、その仕事を本気で愛し、苦しいことがあっても誇りと責任を持って向き合っていけるくらい、没頭できることが大切なのです。
その仕事に本気で没頭すれば、いつも高い集中力を持って臨め、結果的に仕事の質も高まるので、お客さんからの評価は次第に高くなります。対外的な評価が高まれば、それだけ仕事は増えていき、末永くその仕事を続けていけるでしょう。
没頭できる仕事とは、「極めたい」「追求したい」といった気持ちが無限に湧いてくるくらい情熱が持てるものです。
では、そもそも物事に没頭している状態とは、具体的にどんなものなのでしょうか。
例えば、ゲームに夢中になる子どもを思い浮かべてみてください。ゲーム好きの子どもは、親が「いい加減にしなさい」と言ってもなかなかやめません。親の目さえなければ、おそらく朝起きてすぐにゲームに取り掛かり、ご飯を食べるのも忘れてゲームにかじりつき、疲れて寝落ちするまでゲームの世界にのめりこみます。このように、時に寝食がおろそかになるほど熱中し、一つの物事にのめりこむのが、没頭した状態です。
もし仕事にもこのくらい没頭できたとしたらどうでしょう。常に全力で楽しめて、夢に出てくるくらいのめりこんでしまう。そういう仕事であれば、きっと情熱を持って長く続けられます。
僕の場合は、その条件に合う仕事は音楽でした。好きなバンドの曲はいつまでも聴いていられました。楽器の練習もまったく苦にならず、楽しいので何時間でも続けられました。
好きなことをやって暮らしたいという考えを、子どもじみていると言う人もいます。
「仕事はそういうものじゃない」「楽しいだけの仕事などない」と思う人もいることでしょう。しかし、自分が楽しいと感じることや大事だと思っていることに没頭し、それを生業にしようと努力するのは、人生の幸せの追求にほかなりません。幸せになるのを目指すのが、悪いことであるはずがありません。
会社員であれば、「会社では時間や労力を切り売りして給料をもらう」「退社後や退職後に好きなことをやる」といった割り切り方もできるでしょう。しかしフリーランスは、すべてを自分の裁量でこなさねばならず、仕事とプライベートの境界線が薄くなります。よくも悪くも「仕事が趣味」という状態になりがちで、生活の時間と仕事の時間を切り離すのにも工夫が要ります。ですから、寝食を忘れるくらい没頭できる仕事を選ぶことで、人生の多くの時間が豊かになります。