「3~4人の酒飲み場で出たワガママ」が超貴重なワケ
■事業のアイデアを聞いてもらう
すでに「こんな仕事をやろうと思う」「こんなことをやってみたい」といったアイデアがあるなら、そのアイデアを友人などに話し、感想を聞いてみるとよいと思います。この場合も共感がポイントで、「面白そうだ」という人が多ければ多いほどチャンスは大きくなりますし、「お金を払ってでも利用したい」という人がいれば可能性がますます広がります。
少数の人の意見を、世の中全体の意見ととらえるのは早計ですが、「面白そうだ」「利用したい」という人が実際にいるなら、世の中にも同じように感じる人がおそらくたくさんいます。
社会のニーズを知るために、僕は見込み客数人と一緒にお酒を飲む場を設け、そこでリサーチすることを推奨しています。人数の目安としては、3〜4人がおすすめです。一対一だと相手が気を遣って本音を言ってくれないことがあります。リサーチする側としても、一対一で話す相手が「面白そう」と言ってくれた時よりも、少人数で話し、別の人も共感してくれた時のほうが事業のアイデアに自信が持てるでしょう。
かといって大人数だと多数決の雰囲気が生まれやすくなり、少数派の人が貴重な意見を言いづらくなることがあります。ですから、誰かの意見に別の人が賛同し、話が盛り上がりやすい3~4人くらいの会がちょうどいいのです。こうした場で最も注意深く耳を傾けるべきは、事業計画として足りない点や改善点を指摘する意見です。
「もっとこうすればいいのに」「こうしたらよくなる」という話が出たら、聞き流してはいけません。事業のアイデアを一人で練っていると、事業計画が独りよがりになりがちです。「よいアイデアだ」「成功するはず」という気持ちが盛り上がれば盛り上がるほどよい点しか見えなくなるため、客観的な視点から抜け穴などを指摘してもらうことが大事なのです。
わがままや愚痴に聞こえたとしても、そのような意見を出してくれるのであれば、お酒や食事をごちそうしても十分過ぎるほどの価値があります。世の中にある商品やサービスのほとんどは、消費者の「こうしてほしい」というわがままに応えたり「ここが不満」といった愚痴を解消したりすることによって支持されているからです。わがままや愚痴は消費者の本音であり、市場はそのような本音の集合体として成り立っているといってもよいと思います。
もちろん、わがままをすべて聞き入れることはできません。しかし、一部分でも対応できれば事業として成功する可能性が大きくなります。現時点では対応できないことでも、いずれ対応する将来的な課題と位置付けて、取り組んでいくこともできます。