「自分には能力がない」と思い込むのが「ムダ」なワケ
■能力の価値は市場側から見る
自分がどんな能力を持っているかを整理する際に重要なのは、自分が持っている能力が「たいした能力ではない」「フリーランスの仕事では使えない」などといった先入観を持たないことです。自分ではたいした能力だとは思っていないことが、市場では意外に高く評価されたり、たくさんの人に求められていたりするものです。
僕のケースを例にすると、コールセンターの仕事はつまらなく感じていましたし、オペレーターとして日常的に行っていた業務にもたいして価値を感じていませんでした。
ところが「フリーランスとして何ができるだろうか」「自分にできることはなんだろうか」と能力の棚卸しをしたところ、相手が分からないことを分かりやすく説明すること、どこが分からないのか聞き出すこと、丁寧に接することなどは、コールセンターの仕事でいつの間にか習得していた技術でした。そしてそれを生かせるコーチングの仕事と出合いました。
こうして知らず知らずのうちに身についていたことが、結果として愛されフリーランスの仕事で活きる場合があります。そのような可能性を見逃さないようにするためにも、「たいした能力ではない」と切り捨てないでほしいと思います。
自分の能力について評価する際にもう一つ重要なのは、能力の価値を市場側から見ることです。連載内で説明したとおり、事業として成立するかどうかを決めるのは市場です。それと同様に、能力の価値も市場側から見てみましょう。「自分には能力がない」「成功できる素地がない」と思い込んでしまうのは自分側から見た評価です。その評価はあまり意味がなく、重要なのは市場がどう評価するかなのです。