いまでも周辺には東京医療保健大学、桜修館中等教育学校、トキワ松学園、八雲学園など教育機関が多く集積していますが、少々年配の方であれば、「柿の木坂」と聞けばピンとくる存在があります。それは「柿の木坂幼稚園」。そこに通ったのは、旧紀宮清子内親王の黒田清子さん。皇族で初めて学習院以外の幼稚園に通ったことで話題になった幼稚園が、この地にあるのです。
柿の木坂は、東急電鉄の沿線価値の向上を目的に行なわれたブランド戦略によって形作られていった住宅地です。東横線の評判があがるにつれて、高級住宅地という印象を強くしていきました。
緩やかな傾斜地のエリアは、比較的整然と区割りはされていますが、戦火を逃れたエリアということもあり、細い路地も目立ちます。大きな通りから一歩外れた一帯に、低層のマンションや広い敷地をもつ古い日本家屋やモダンな洋風家屋などが並びます。一方で、低層のアパートなども点在するため、高級住宅地とはいえ、どこか親しみを感じられるでしょう。
とはいえ大物政治家の邸宅も点在し、高級住宅地としての確固たる地位を築いている柿の木坂。旧・呑川を暗渠化してつくられた緑の散歩道は四季を通じてさまざまな表情をみせ、この街の落ち着きを演出するのにひと役買っています。
柿の木坂に住む「会社役員と医師、支える配偶者」
沿線価値の向上を狙った大学誘致により、イメージが形作られ、高級住宅地へと成熟していった柿の木坂。文化の薫りがする高級住宅地には、どのような人が住んでいるのか、国勢調査(2015年)などの結果から、その傾向を紐解いていきます。
目黒区柿の木坂1~3丁目に住んでいるのは9,306人で人口密度は16,920人/km2。山手線の外に位置する田園調布や成城など、邸宅中心の高級住宅地は5,000~6,000人/km2なので、それらのエリアと比較すると、住宅の集積が目立ちます。
年齢別にみていくと、15歳未満が11.87%、労働生産人口である15~64歳が68.14%と、東京区部の平均とほぼ同じで、子育て世代のファミリー層が多い傾向にあります。前出の通り、教育機関が充実し、また通勤・通学にも便利な東横線沿線ということもあり、ファミリー層から支持されていると推測できます。
世帯単位でみていくと、柿の木坂には4,517世帯あり、単身者世帯は42.53%。目黒区の平均51.01%を大きく下回り、ファミリー層の居住が多いエリアだということがわかります。特に柿の木坂2丁目の単身者率は4割を切る、38.54%。5世帯に3世帯はファミリー層というエリアです。また18歳未満の子どもがいる世帯は19.42%と目黒区の平均を5ポイント近く上回っています。特に柿の木坂2丁目は21.81%と5世帯に1世帯は、子育て世帯になっています。
持ち家率は、目黒区平均48.08%を大きく上回る55.15%。また1戸建てに住むのは1,902世帯で、全体の4割以上にのぼります。高級住宅地として知られる柿の木坂の邸宅に住む人たちの姿が徐々にみえてきました。
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