2020年8月分「機械受注」データの分析

本連載は、三井住友DSアセットマネジメント株式会社が提供する「宅森昭吉のエコノミックレポート」の『経済指標解説』を転載したものです。

 

8月分機械受注(除船電民需)は前月比+0.2%と2ヵ月連続の増加に

 

製造業は前月比▲0.6%、非製造業(除船電民需)は前月比▲6.9%

 

8月分で基調判断は「減少している」から、「下げ止まりつつある」に上方修正

 

7~9月期見通し前期比▲1.9%達成には、9月前月比▲9.8%で大丈夫

 

 

 

●8月分機械受注(除く船舶電力の民需ベース、以下、除船電民需と表記)の前月比は+0.2%と2ヵ月連続の増加になった。3ヵ月移動平均は前月比▲0.6%で5ヵ月連続の減少になった。また、機械受注(除船電民需)の前年同月比は▲15.2%で9ヵ月連続の減少になった。

 

●機械受注(除船電民需)の大型案件をみると、前回7月分の大型案件は0件であった。今回8月分も0件であった。

 

●8月分製造業の前月比は▲0.6%と3ヵ月ぶりの減少だ。8月分の製造業では17業種中、9業種で増加し、減少は8業種だった。

 

●8月分非製造業(除船電民需)の前月比は▲6.9%と2ヵ月ぶりの減少になった。電力業は前月比+16.0%の増加であったが、8月分の船舶・電力を含む非製造業全体では前月比▲8.6%と2ヵ月ぶりの減少になった。非製造業12業種中、5業種が増加で7業種が減少となった。

 

●8月分では内訳の製造業の前月比と非製造業(除船電民需)の前月比は減少であったが、機械受注(除船電民需)の前月比は増加になった。それぞれの系列で季節調整を掛けているからである。

 

●大型案件は、前回7月分は0件であった。今回8月分は10件であった。内訳は、民需が4件。非製造業の電力業3件(火水力原動機1件、原子力原動機2件)、運輸業・郵便業1件(船舶1件)。官公需が1件。その他官公需1件(その他産業機械1件)。外需5件(火水力原動機2件、化学機械2件、航空機1件)である。

 

●中小企業の動きを反映している部分がある代理店受注は8月分前月比+0.5%と3ヵ月連続の増加となった。前年同月比は▲18.1%と16ヵ月連続の減少になった。

 

●外需は8月分前月比+49.6%で2ヵ月連続の増加になった。前年同月比は▲7.4%と7ヵ月連続の減少になったが、7月分の▲25.3%の2ケタ減少から1ケタ減少に改善した。

 

●内閣府の基調判断の推移をみると、19年9月分では「機械受注は、持ち直しの動きに足踏みがみられる」という判断に下方修正された。その後10月分ではさらに下方修正され、18年12月分~19年3月分以来の「機械受注は、足踏みがみられる」という判断になった。11月分・12月分・20年1月分、2月分、3月分と、「機械受注は、足踏みがみられる」という判断であったが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が大きく出た4月分では「機械受注は、足元は弱含んでいる」という判断に下方修正され、5月分では判断据え置きになった。6月分では「機械受注は、減少している」という判断に下方修正され、前回7月分では判断据え置きになった。今回8月分では「機械受注は、下げ止まりつつある」に上方修正された。

 

●機械受注(除船電民需)7~9月期の前期比見通しは▲1.9%である。7~9月期の前期比実績は見通しに使う達成率の計算方法を変えた09年(平成21年)から昨年の11年間でみると、上振れ9回、下振れ2回であり、上振れしやすい傾向がある四半期である。20年(令和2年)の見通しは単純集計値に過去3四半期平均の達成率89.4%をかけたものである。7~9月期の前期比見通しの▲1.9%を達成するためには、9月の各月分が前月比▲9.8%で大丈夫だ。9月の前月比が▲4.2%なら、7~9月期の前期比は0.0%になる。9月の前月比が0.0%なら、7~9月期の前期比は+1.4%と増加になる。新型コロナウイルス感染症の動向が不透明な中、予断を持つことなく注視する必要があるものの、今年も上振れる可能性が大きそうだ。

 

 

●景気ウォッチャー調査の設備投資関連・DIの今年の動きをみよう。20年1月の現状判断DIが52.8(同9人)と18年12月分の55.0以来の50超となった。当時の設備投資関連・現状判断DIからは底堅さが感じ取れるようになってきていた。しかし、新型コロナウイルスの影響で現状判断DIは4月10.0(同5人)へと急落した。4月を底にその後、緊急事態宣言解除もあり、9月は47.5(同10人)と持ち直してきている。9月のコメントには「北米市場の自動車向け設備の引き合いは増えているが、実際の設備投資に結び付く案件は少なく、受注確率は低い。」(東海、一般機械器具製造業〔営業担当〕)といったものがあった。

 

 

●一方、設備投資関連・先行き判断DIは19年11月には51.6(同16人)と1月以来の50超に戻ったが、そこから下落した。20年4月は18.8(同8人)と弱含んだ。新型コロナウイルスの影響によるところが大きい。4月をボトムに持ち直し、一進一退状態もあったが、9月に45.5(同11人)まで戻した。9月では「世界的に生産活動が動き出し始めているので、設備投資が動き始めることを期待している。」(北陸、一般機械器具製造業〔総務担当〕)という先行きを期待するコメントがある。

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『2020年8月分「機械受注」データの分析』を参照)。

 

(2020年10月12日)

 

 

宅森 昭吉
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
理事・チーフエコノミスト
 

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 理事・チーフエコノミスト

旧三井銀行(現三井住友銀行)で都市銀行初のマーケットエコノミストを務める。さくら証券チーフエコノミストなどを経て現職。
パイオニアである日本の月次経済指標予測に定評がある。身近な社会データを予告信号とする、経済・金融のナウキャスト的予測手法を開発。その他、「景気ウォッチャー調査」などの開発・改善に取り組んできている。「より正確な景気判断のための経済統計の改善に関する研究会」など政府の経済統計改革にも参画。「景気循環学会」常務理事。
著書に『ジンクスで読む日本経済』(東洋経済新報社)など。

著者紹介

連載【宅森昭吉・理事・チーフ エコノミスト】エコノミックレポート/三井住友DSアセットマネジメント

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