絶えず動いて落ち着きがない、話すときに視線が合わない…。一見すると、発達障害があるのか、それとも性格や気質の問題なのかわからない子どもが、全国の幼稚園や保育園で増加しています。今回は、文字の読み書きでは読むことが流暢にできない、文字を書けばバランスが悪くて上手に書けない、鏡文字になる、算数では数字の概念が理解できない、計算や推論ができないなど、限局的な能力の落ち込みが特徴のSLD(限局性学習症/限局性学習障害)について解説します。※本記事は盛岡大学短期大学部幼児教育科教授である嶋野重行氏の著書『もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

絵本の読み聞かせが「文字への関心」を生む?

SLDは、読むのが遅く文字を音節に変換する変換機能の障害があるため、勉強すべて
が嫌になったり、勉強をしたりするのがつらい状態が続きます。文字は目に見えない音を目に見える形に表したものです。「聞くこと」「話すこと」が言葉の発達の基盤となりますので、幼児期には文字に対する意識を高めるように手遊びやことば遊びをとおして、言語環境を豊かにし、素地づくりをすることが大切です。

 

保育園等では、文字そのものを指導することはありません。しかし、どこの園でも「絵本の読み聞かせ」は、ほぼ毎日おこなわれています。それが「ことばが楽しい」「文字への興味関心」「見ること・聞くことへの集中」という素地づくりにつながります。

 

 

また、発音をよくするためには、舌の動きがスムーズになる必要があります。子どもは毎日、食べる行為を通じて、舌の動きが滑らかになっていきます。よく噛んで食べることが、発音をよくするための舌の運動となります。

歌、しりとり…「文字の学習」に効果的な遊び

文字の学習では、連続した音声を聞いて、音を言葉のかたまりに分け、文字に変換しま す。音を意味文字として意識することが音韻意識です。これは、日常の会話や遊びのなか で習得されていきます。

 

文字がわからない子はこの音韻意識の弱さをもっています。日本語では、モーラ意識(音韻論上、一定の時間的長さをもった音の文節単位)をもつことが大切です。たとえば、これがうまくできていないと、「きって」と「きて」、「チョコ」と「チコ」の区別ができないため、まず「音の粒」(音素)に気づくことが必要です。

 

これを養うには、やはりことば遊びが大切になってきます。私たちも幼児期に「逆さこと ば」を言い合って遊びました。たとえば、「あたま」の反対から読むと「またあ」、「てぶくろ」は「ろくぶて」と言って、頭を6回叩いたりしました。

 

歌に合わせて音を区切っていく遊びがとても効果的です。「ずいずい ずっころばし ごまみそずい……」、「おてらの おしょうさんが かぼちゃの……」など、音声と手を叩き合う行動が連動できるようになる遊びが有効です。

 

しりとりは、はじめの音とおわりの音がわからないとできません。最後が、撥音の「ん」でしりとりは終わりとなり、負けとなります。

 

さらに、読みには「流暢性」が重要になります。一字一字の逐次読みでは、平仮名は読 めても単語としての意味が理解できません。すらすらと正確に読み、適切な表現ができる ことは読解力に必須の要素の一つです。

 

読みで単語の意味がわかるようになるためには、文字と音変換の素早さが必要です。文字をパッと見ただけで、すぐに単語として読めるようにすることです。3文字以上の単語は難しくなりますので、これには写真と文字の両方を同時に見せて、子どもが見慣れることにより、文字を覚えやすくします。アニメ、虫、動物などその子にとって興味のある写真や絵のカードを使って、だんだんにスラスラ読めるようにしていきます。

 

 

※本記事は連載『「気になる子ども」との向き合い方』を再構成したものです。

 

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もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

もしかして発達障害?「気になる子ども」との向き合い方

嶋野 重行

幻冬舎メディアコンサルティング

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