新型コロナウイルスの流行により、全世界で医療崩壊が相次いだ昨今、「命の線引き」という言葉も取り沙汰されるようになりました。ジレンマに苦悩する医療従事者も多く、医療現場では「医師のマネジメント」が重要になっています。そこで本記事では、愛知医科大学・内科学講座肝胆膵内科学准教授である角田圭雄氏の書籍『MBA的医療経営』(幻冬舎MC)より一部を抜粋し、解説していきます。

「チーム医療」の定義とは?

2010年厚生労働省の定義によるとチーム医療と”医療に従事する多種多様な医療スタッフが、各々の高い専門性を前提に、目的と情報を共有し、業務を分担しつつも互いに連携・補完し合い、患者の状況に的確に対応した医療を提供すること”とされています。

 

それではそもそもチームとは何でしょうか? グループとチームとの違いは? 

 

ループとチームとの違いは? (画像はイメージです/PIXTA)
グループとチームとの違いは?
(画像はイメージです/PIXTA)

 

チームとはメンバーの強みをフルに発揮させ、弱みを意味のないものにすることです。大事なことは一人ひとりが力を発揮し、一人ひとりの強みを共同の働きに結びつけることです。グループは1+1=2ですが、チームは1+1=3以上にすることです。したがって、チーム医療とは1+1=2を目指すのではなく、1+1=3以上を目指すこと、すなわち「シナジー」効果を生み出すことに他ならないわけです。逆に、1+1が2未満になることをプロセスロスと言います。

 

それではシナジーとは何でしょうか?

 

一人ひとりが明確な個性を持ち、その違いを認め、互いに高め合うことで、大きな成果を生むことです。

 

われわれは日々の生活でシナジーを活かしています。シナジーの例は、オーケストラ、夫婦(家族)、会社、医局などです。鉄の棒にインチ当たり6万ポンドの圧をかけると折れてしまいます。同様にクロムですと7万ポンド、ニッケルですと8万ポンドです。

 

それでは3つの金属の合金ではどうなるでしょうか?

 

単純に足し算をすると21万ポンドということになりますが、実際は30万ポンドまで折れません。この現象もまさにシナジーです。

チーム医療が見習うべきは「AKB48」

2016年末、人気アイドルグループのSMAPの解散で国民全体が悲しみましたが、SMAP結成時は1+1+1+1+1=5以上のシナジー効果を生むためにチームを結成したわけですが、1人ずつが才能にあふれ個々の能力が十分であれば、チームを結成するメリットは少なくなりますし、むしろSMAPとして継続することでプロセスロスを生んでいるかもしれないわけですので、解散するのは仕方ないことです。

 

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MBA的医療経営 目指せ!! メディカルエグゼクティブ

MBA的医療経営 目指せ!! メディカルエグゼクティブ

角田 圭雄

幻冬舎メディアコンサルティング

MBAの視点から医療機関を経営するための最新知識を網羅する1冊。 病院経営は、営利を目的とした企業の経営とは多くの点で異なります。診療や看護、医療技術や医療事務などの特定分野の管理能力、そして「全体最適」の視点が必…

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