一方、AKB48はどうでしょうか? グループを卒業しても単独で活躍してる人はごくわずかですので、グループとしてシナジー効果を得ていたと言えますから、グループを脱するのは得策ではありません。
われわれは一般社団法人日本医療戦略研究センター(J-SMARC)の臨床研究部としてNAFLDの全国多施設共同研究グループ(Japan Study Group of NAFLD:JSG-NAFLD)を結成しました(図表1)。互いの強みを見出し、弱みを補完し合うことによって数多くの研究成果を生み出しています。
チーム医療は医師とコメディカルのシナジーによって成り立ちます。両者の共通点のみであれば妥協ですが、両者の力を合わせてより大きな第三の案を生むことがシナジーを活かしたチーム医療と言えます(フランクリン・コヴィー・ジャパン編『第3の案をつくるコミュニケーション』キングベアー出版)。
一人ひとりが明確な個性を持っていて、その違いが大きく、互いにそれを認め合うときにシナジーは最大の効果を発揮すると言えます。
自身を知ること、ともに働く人を知ることが必要
チーム医療を実現するためには「自身を知る」ことと、「ともに働く人を知る」ことが必要とされています。まず「自身を知る」とは自身の強みと弱み、ワークスタイル、価値観を知ることで、「ともに働く人を知る」とはともに働く人の強み(弱み)、ワークスタイル、価値観を相互に理解することです。このような力を最近、ダニエル・ゴールマンが心の知能指数EQ(Emotional Intelligence Quotient)と呼んでおり(ダニエル・ゴールマン著・土屋京子訳『EQこころの知能指数』講談社)、今後のチーム医療の実現に欠かすことのできない概念です。
IQ(Intelligence Quotient)とは、偏重主義が支配的である現状から生まれた概念で、人間関係力を指し、協調性やコミュニケーション能力などを意味します(ダニエル・ゴールマン著・土屋京子訳『EQこころの知能指数』講談社)。
インターネットの普及で知識や情報は山のようにあり、誰もがアクセスできることからIQによる差は小さくなってきており、今後はIQよりもEQが重要です。ダニエル・ゴールマンはEQには4つのスキルが必要であると主張しています。