米大統領選TV討論会後のマーケットが示唆する投資家の思惑

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米国大統領選挙候補者による第1回TV討論会が中西部オハイオ州で現地9月29日夜に開催された。トランプ氏がたびたびバイデン氏や司会者の発言に割り込み一方的に持論を展開する光景が目立つなど、「討論会」とは程遠い内容となったが、討論会後のマーケットは「決まらない大統領選挙」と「ブルーウェーブ」シナリオを冷静に織り込んだ可能性がある。​

第1回TV討論会の評価はバイデン氏の勝利

第1回TV討論会の評価は、バイデン氏が優勢となった。討論会直後に行われたCBS/YouGovの調査によれば、全体の48%がバイデン氏の勝利、41%がトランプ氏の勝利との評価を下した。また、CNNの調査でも全体の60%がバイデン氏の勝利、28%がトランプ氏の勝利と結論づけた。バイデン氏だけでなく司会者の質問さえもさえぎり、一方的に主張するトランプ氏の様子は、視聴者にマイナスの印象を与えた可能性がある。しかし、従来からのトランプ支持者の評価を変えるほどの材料では無かったため、TV討論会前後で選挙状勢が大きく変わったとは言えないだろう。その一方で、(有権者としてではなく)市場関係者として意識されたことは、「決まらない大統領選挙」と「ブルーウェーブ」シナリオだろう。

 

出所:CBS/Yougov、CNNよりピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国大統領選挙 第1回TV討論会のアンケート調査 出所:CBS/Yougov、CNNよりピクテ投信投資顧問作成

マーケットは「決まらない大統領選挙」と「ブルーウェーブ」シナリオを織り込む

トランプ氏は郵便投票は「不正選挙」につながると以前から批判しており、今回の討論会でもトランプ氏が選挙に敗北しても平和的に政権移行に応じるかについては明言を避けた。このため、新大統領が投票日から数週間たっても明らかにならない「決まらない大統領選挙」シナリオが改めて意識され、9月30日のVIX(CBOEボラティリティ)指数先物カーブは上方へスライド(予想変動率が上昇)する展開となった。

 

単位:ポイント、2020年9月30日時点と2020年9月29日時点の比較 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
[図表2]VIX指数先物カーブ 単位:ポイント、2020年9月30日時点と2020年9月29日時点の比較
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

また、第1回TV討論会の評価がバイデン氏優勢となったことから、市場関係者は民主党バイデン氏の勝利と上院・下院で民主党が過半を占める「ブルーウェーブ」シナリオも改めて織り込んだ可能性がある。9月30日の世界株式市場は、「ブルーウェーブ」シナリオで恩恵を受けると想定される太陽光/風力関連株指数が世界株指数を上回るパフォーマンスとなり、反対に共和党が大勝する「レッドウェーブ」シナリオで恩恵を受けると考えられるエネルギー(原油)株指数や航空宇宙・防衛株指数が世界株指数を下回るパフォーマンスとなった。当日は、米国の追加景気対策に対する期待感から世界株式市場は全般的に上昇する展開となったが、その中身を精査すると投資家の思惑が透けて見えてくる。

 

配当込み、米ドル建て 期間:2020年9月29日~2020年9月30日 ※太陽光エネルギー株指数:MAC Global Solar Energy TR Index、風力エ ネルギー株指数:ISE Global Wind Energy TR Index、世界株指数:MSCI World Gross TR Index、エネルギー株指数:MSCI World Energy Gross TR Index、航空宇宙・防衛株指数:MSCI World A&D Gross TR Index 出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成
配当込み、米ドル建て
期間:2020年9月29日~2020年9月30日
※太陽光エネルギー株指数:MAC Global Solar Energy TR Index
風力エネルギー株指数:ISE Global Wind Energy TR Index
世界株指数:MSCI World Gross TR Index
エネルギー株指数:MSCI World Energy Gross TR Index
航空宇宙・防衛株指数:MSCI World A&D Gross TR Index
出所:ブルームバーグのデータを基にピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『米大統領選TV討論会後のマーケットが示唆する投資家の思惑』を参照)。

 

(2020年10月1日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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