VIX先物カーブが物語る米国大統領選挙の大波乱

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米国大統領選挙まで残りわずかとなる中、VIX先物カーブは大統領選挙にかけてボラティリティ(変動性)が上昇することを織り込んでいる。このようなVIX先物カーブの形状は、4年前の大統領選挙時には見られなかった現象であり、市場関係者は今回の大統領選挙を重大なリスクイベントとして認識していることがうかがえる。

コロナ禍の郵便投票増加で新大統領がすぐに判明しない可能性

今回の米国大統領選挙はコロナ禍ということもあり、郵便投票の増加が予想されている。郵便投票が増加するということは、それだけ集計作業に時間がかかることを意味する。米国の場合、集計方法は州によって異なり、投票日前から集計を行うことができるのは17州のみで、それ以外は投票日又は投票締切後でないと集計ができない。このため、大統領選挙の勝敗を分ける「激戦州」を含め、選挙結果が判明するまで数日から数週間かかる州が続出する可能性がある。

 

どちらの政党を支持するかによって、新型コロナウイルスに対する意識も変わってくる。民主党の支持者は新型コロナウイルスの感染リスクをより強く意識しており、「密」を避けるため、共和党支持者よりも郵便投票を選択する割合が高くなると言われている。そのため、開票の初期段階ではトランプ氏が優勢となりやすく、開票が進むにつれて徐々にバイデン氏の票が伸びてくることが想定される。

再集計を巡って訴訟になるリスクも

トランプ氏は以前から郵便投票は不正選挙になると主張していることから、開票結果を不服として再集計の訴訟を起こす可能性がある。そうなれば、選挙結果が正式に判明するまで、さらに時間を要することになるため、大統領選挙は混迷を極めることになるだろう。

 

実際、マーケットはこの状況を織り込んでおり、VIX(CBOEボラティリティ)指数の先物カーブは、大統領選挙にかけて大きく上昇しているだけでなく、大統領選挙後の12月限でも高止まりしていることがわかる。このことから、市場関係者は大統領選挙の「大波乱」を想定していることが読み取れる。

 

2000年の大統領選挙ではフロリダ州の集計を巡って訴訟合戦になったものの、当時は米連邦最高裁が大統領選挙日から35日後に再集計中止の判決を下しブッシュ氏が勝利した。今回もそれが適用されれば12月8日がおおよその目安となる。大統領選挙が一筋縄ではいかないことは、肝に銘じるべきだろう。

 

出所:各種報道よりピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国大統領選挙 州別集計方法 出所:各種報道よりピクテ投信投資顧問作成

 

出所:ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成
[図表2]VIX(CBOEボラティリティ)指数先物カーブ
2020年9月28日、2019年9月27日、2016年9月28日時点の比較
出所:ブルームバーグよりピクテ投信投資顧問作成

 

出所:各種資料よりピクテ投信投資顧問作成
[図表3]2020年米国大統領選挙の主な日程 出所:各種資料よりピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『VIX先物カーブが物語る米国大統領選挙の大波乱』を参照)。

 

(2020年9月29日)

 

田中 純平

ピクテ投信投資顧問株式会社 

運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト

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ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系運用会社に入社後、14年間一貫して外国株式の運用・調査に携わる。主に先進国株式を対象としたアクティブ・ファンドの運用を担当し、北米株式部門でリッパー・ファンド・アワードを受賞。アメリカ現地法人駐在時は中南米株式ファンドを担当し、新興国株式にも精通。ピクテ入社後は、ストラテジストとしてセミナーやメディアなどを通じて投資家への情報提供に努める。日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

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