二人三脚だった診療所…「親族からの借入れ」が争点に
<合意成立のポイント>
1 医療法人の保有財産算定の困難性
診療所については、実質的に夫婦だけで経営しているといえる状態でした。そのため、医療法人の保有財産を分与対象とすることも考えられましたが、親族からの借入れをどのように扱うかという点について、夫婦間に大きな見解の対立がありました。
2 医療法人の収入からの分与額算定
一方、医療法人のフロー(収入)については、年度による変動がそれほどはありませんでした。そこで、収入をベースにして分与対象財産を算定するという方向性となりました。結果的に、2000万円程度の年間収入の5年分(1億円)を分与対象としました。これに、夫名義の預貯金1200万円を加えた1億1200万円が分与対象財産の総額となり、その約2分の1の5500万円が分与額となりました。
3 他の事情の影響
実際には、養育費の金額について妻側が譲歩したことも分与額に反映されています。
三平 聡史
弁護士法人みずほ中央法律事務所・司法書士法人みずほ中央事務所 代表弁護士