弁護士法人みずほ中央法律事務所・司法書士法人みずほ中央事務所の代表弁護士である三平聡史氏は『ケーススタディ 多額の資産をめぐる離婚の実務 財産分与、婚姻費用・養育費の高額算定表』(日本加除出版)のなかで、富裕層の離婚問題について様々な事例を取り上げ、解決策を提示しています。

二人三脚だった診療所…「親族からの借入れ」が争点に

<合意成立のポイント>

 

1 医療法人の保有財産算定の困難性

診療所については、実質的に夫婦だけで経営しているといえる状態でした。そのため、医療法人の保有財産を分与対象とすることも考えられましたが、親族からの借入れをどのように扱うかという点について、夫婦間に大きな見解の対立がありました。

 

2 医療法人の収入からの分与額算定

一方、医療法人のフロー(収入)については、年度による変動がそれほどはありませんでした。そこで、収入をベースにして分与対象財産を算定するという方向性となりました。結果的に、2000万円程度の年間収入の5年分(1億円)を分与対象としました。これに、夫名義の預貯金1200万円を加えた1億1200万円が分与対象財産の総額となり、その約2分の1の5500万円が分与額となりました。

 

3 他の事情の影響

実際には、養育費の金額について妻側が譲歩したことも分与額に反映されています。

 

 

三平 聡史

弁護士法人みずほ中央法律事務所・司法書士法人みずほ中央事務所 代表弁護士

 

本連載に掲載しているケースは、解決に至った事例を基にして、その一部を変更し、また複数の事例を組み合わせてまとめたものです。もちろん、同種案件の処理において参考となるよう、本質的な判断のエッセンスは残してあります。一方で、判断プロセスや解決結果にはほとんど影響を及ぼさない事情については記載を省略しています。なお、ケースの背景事情等については、あくまで架空の設定であることをおことわりしておきます。

ケーススタディ 多額の資産をめぐる離婚の実務 財産分与、婚姻費用・養育費の高額算定表

ケーススタディ 多額の資産をめぐる離婚の実務 財産分与、婚姻費用・養育費の高額算定表

三平 聡史

日本加除出版

高額所得者の場合の財産分与、婚姻費用・養育費算定はどうなる? 標準算定表の上限年収を超えたときの算定方法は? 54の具体的ケースや裁判例、オリジナル「高額算定表」で解説! ●不動産や会社支配権、その他高額資産を…

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