「私も掃除してたんだから」で、離婚ドロ沼化…
【ケース1】
男性(夫)と女性(妻)は婚姻し、2人の子をもうけました。夫は会社員として就業していて、年収は約900万円でした。妻は専業主婦でした。その後、夫の父Aの将来の相続税対策として、Aの所有土地上に夫が収益用の建物を建築することになりました。実質的には、Aが建物の建築資金8000万円を夫(息子)に援助したので、夫の給与としての収入が建築資金にあてられることはありませんでした。
土地について使用貸借の契約書を調印し、賃料(地代)や権利金の支払いは行いませんでした。
また、収益用建物の賃料収入(による利益)は、年間1800万円程度でした。賃料の振込先口座は夫名義でしたが、その預金通帳の保管を含めて収益用建物の管理はAとAの妻B(夫の母)が行っていて、夫はほとんど関与していませんでした。夫婦の家計は夫の給与収入によりまかなっており、収益用建物からの賃料収入を家計にあてることはありませんでした。
収益用建物の定期的な清掃は業者に発注していました。ごく稀に妻も外階段付近の掃き掃除を行うことがありました。
やがて夫婦の仲が悪くなり、妻が子(8歳、10歳)を連れて家を出て別居するに至りました。妻が夫に婚姻費用を請求したところ、金額について意見が対立しました。
<争点(見解の違い)>
夫:不動産の賃料収入は婚姻費用算定の基礎とはしない。
妻:不動産の賃料収入を婚姻費用算定の基礎に含めて標準算定方式により計算すべきである。
事業所得2500万円→給与所得に換算する→2224万円
(平成27年時点の統計データを用いた)
給与所得の合算:給与900万円+不動産2224万円=3124万円
給与所得3124万円×基礎収入割合34%≒1062万円
1062万円×(55+55+100)/(55+55+100+100)≒719万円
719万円/12≒60万円