子のピアノ代を「払う」「払わない」でドロ沼の争いに
【ケース1】
男性(夫)と女性(妻)は婚姻し、1人の子をもうけました。夫・妻はいずれも別の楽器の演奏のプロであり、楽器に関する仕事に従事していました。
夫の収入(事業所得)は1000万円でした。妻の収入(事業所得)は700万円でした。
子は3歳の時からピアノを習い始め、その後も練習を継続していました。やがて夫婦の仲が悪くなり、妻が子(10歳)を引き取って離婚するという方向で協議が進みました。しかし、養育費の計算方法について意見が対立しました。
交渉をしている時点で、子はピアノ演奏が非常に上達しており、多くの発表会に参加するとともに、コンクールにも応募していて、予選を通過し二次選考に進むことも多くありました。そのため、レッスン料、発表会・コンクールの参加費だけではなく、衣装代や母(妻)も含めた旅費や宿泊費もかかるようになっていました。直近の年度(過去1年)でこれらの出費は合計40万円でした。
<争点(見解の違い)>
夫:養育費の標準額については9万円(妻の主張)で構わない。子のピアノに関する費用は養育費に反映させる必要はない。
妻:現在の養育費の標準額は9万円(8~10万円)である(標準算定表より)。子が高校生となった時の養育費の標準額は11万円(10~12万円)である(標準算定表より)。子のピアノに関する費用を養育費の標準額に加算すべきである。子が中学生、高校生になると、ピアノに関する費用が上がるのでこれも養育費に反映させるべきである。
<結論>裁判外の和解成立(離婚成立)
養育費は、子が小学生の間は月額11.1万円、中学生の間は11.9万円、高校生の間は15.2万円とする。子が大学生となった時には大学に関連する費用を折半し、標準額11万円に加算した金額を養育費とする。