スイス拠点の投資運用会社「GAM」が見る日本市場と米国市場

本格的な海外口座活用の場として、やはり真っ先に名前が挙がるのが「香港」。本連載では、4月5日に刊行された『グローバル資産防衛のための「香港銀行口座」活用ガイド』の中から先行して一部を抜粋し、香港の銀行で取扱いのあるファンドハウスとその最新事情について紹介していきます。今回は前回に引き続き、スイスを拠点とする投資運用会社「GAM」を取り上げます。

日本株に対するGAMの投資戦略とは?

● GAMスター・日本株ファンド

(GAM Star Japan Equity JPY Acc)


GAMシリーズの中の日本株に投資するファンド。モーニングスターのカテゴリーでは、日本株の大型株(Large-Cap)を中心に運用しています。香港では原則としてドルベースで表示されます。すでに2005年から運用されているファンドで、ベンチマークはTOPIXです。

 

GAMのファンド運用戦略では、非常に長期間の運用にこだわります。要するに、割安の株を見つけてきて、長期間ホールドして収益を獲得する戦略といっていいでしょう。そういう意味では、パフォーマンスも日本株全体の動きに大きく影響される傾向にあります。2015年9月30日現在の保有銘柄を見てみると――

 

・オービック(情報産業)……5.5%
・ファミリーマート(生活必需品)……5.3%
・ニトリホールディングス(一般消費財)……5.0%
・花王(生活必需品)……4.8%
・シマノ(一般消費財)……4.8%

 

運用益は、過去5年のトータルリターンで5.47%(米ドルベース、2015年11月13日現在)、ベンチマークが6.04%となっていることを考えると、日本株運用の難しさを物語っているともいえます。運用期間10年のトータルリターンは0.36%。これは、日本株の低迷期間が長かったためでしょう。


ちなみに、GAMの日本株ファンドのポートフォリオ・マネージャーは水戸玲子氏という日本人です。彼女に日本ウエルス銀行(NWB)のシニアマネージャーがインタビューしている記事が「幻冬舎GOLD ONLINE」に掲載(こちらを参照)されています。そこで水戸氏は日本株の運用をチューリッヒで行う意味や、GAMの長期運用の投資戦略について語っています。簡単に要点を紹介しましょう。


① 日本では面接できない大企業のトップでも、海外出張の際には機関投資家に面接する機会が多く、チューリッヒに居たほうが大企業のトップクラスに会える機会が多い。

② GAMのアクティブ運用は、業績のいい会社、業績が上がる企業をピックアップして選択投資している。ETFのような指数への投資は、業績の悪い企業もすべて含まれるために、投資効率が悪い。
③ GAMの日本株ファンドは、資産が軽いアセットライトなセクターを好む傾向がある。ただし、景気が減速してくると評価損の対象になりやすい不動産セクター、そして商品市況に業績が左右されやすい企業が多いコモディティ関連企業への投資は避けている。
④ アベノミクスは、実績を見たときに確実に上がってはいるものの、第3の矢のような時間がかかる政策の実績はみんなの期待には応えられていない。とはいえ、いまのところそれなりの実績を上げているとみている。

 

日本株は、過去の運用実績が大きく変動していることでも分かるように、投資対象としては難しいものの一つです。そのため、GAMのファンドマネージャーに期待する日本の個人投資家も多いのでしょう。

 

ポートフォリオの「コア」になる米国株、米国債券

▪ GAMスター・米国株オール・キャップ・ファンド

(GAM Star US All Cap Equity USD Acc)

 

米国株のほとんどすべてを制限なく投資対象とするのが、この「米国株オール・キャップ・ファンド」です。リーマンショックがあった2008年に設定されたファンドですが、2012年以降は、順調な回復を見せています。具体的には次のような企業に投資しています(数字は投資比率)。


・The Priceline Group(一般消費財)……3.0%
・Visa (情報技術)……2.8%
・Time Warner(一般消費財)……2.8%
・MasterCard (情報技術)……2.8%
・Alcoa(医療)……2.8%
・Johnson & Johnson (健康)……2.6%

 

保有銘柄を見ても分かるように、セクターや企業の規模などに一切とらわれずに、自由に投資しているファンドです。


米国は、世界がいまだに追加の量的緩和をしようとしている中でゼロ金利から脱出し、正常な状態に戻りつつあります。金利が上昇すると株価は下がるというイメージがありますが、むしろ正常な状態に戻せるほど景気回復が進んでいる、ととらえたほうがいいのかもしれません。いずれにしても、海外の銀行でポートフォリオを組む場合、米国株、米国債券はポートフォリオのコア(中核)になるため、良質のファンドを選択する必要があります。

 

経済ジャーナリスト

1952年長野県生まれ。武蔵大学経済学部卒業後、雑誌編集者を経て、金融・経済関連の企画、編集、執筆を行うプロダクション「ライトルーム」を設立。取材執筆のほか、テレビ、ラジオ等のコメンテーターとしても活動している。

『老後破綻 改訂版』(廣済堂出版)、『グローバル資産防衛のための「香港銀行口座」活用ガイド』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『日本人が知らなかったリスクマネー入門』(翔泳社)、『「老後」プアから身をかわす 50歳でも間に合う女の老後サバイバルマネープラン! 』(主婦の友インフォス情報社)、『はじめての海外口座』(学研パブリッシング)など著書多数。

著者紹介

連載香港からアクセス可能な著名「ファンドハウス」の最新事情

本連載は、2016年4月5日刊行の書籍『グローバル資産防衛のための「香港銀行口座」活用ガイド』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。
本連載の記載の内容は情報の提供および学習を目的としたものであり、本連載を用いた運用は、必ずご自身の責任と判断によって行ってください。また、本連載の内容に関して運用した結果については、著者および株式会社幻冬舎メディアコンサルティング、合同会社幻冬舎ゴールドオンラインはいかなる責任も負いかねます。また、本書に記載されている情報は2016年4月現在のものであり、今後変更されることがあります。

グローバル資産防衛のための 「香港銀行口座」活用ガイド

グローバル資産防衛のための 「香港銀行口座」活用ガイド

岩崎 博充

幻冬舎メディアコンサルティング

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