スイスを拠点とするGAMグループ
《ギャム(GAM)》
スイスを拠点とする「GAMグループ」系列の投資運用会社です。GAMグループは、運用総資産1,232億ドル(約14兆円、2015年末現在)を保有する金融グループであり、その香港の拠点が「GAM HongKong Limited(以下GAM)」になります。
GAMの特徴は、ファンドマネージャーが株式市場で精査し、選択した銘柄を中心に「買い(ロング)」を行い、長期間ホールドするタイプの「ボトムアップリサーチ」と呼ば れる運用手法がメインであることです。銘柄分析能力の高いファンドマネージャーが数多く揃っており、いわゆるアクティブ運用戦略を得意とする「ブティック型ファンドハウス」といっていいでしょう。
本来、機関投資家向けのファンド組成が大半であり、スイスの富裕層向け金融大手「ジュリアス・ベア」でしか購入できないファンドとして有名です。GAMグループ全体では、日本にもGAM証券投資顧問として進出はしていますが、日本での直販などは行われていません。
ちなみに、日興アセットマネジメントがGAMと提携して「日興GAMエマージングストラテジー・ファンド(毎月分配型)」を組成し、ヘッジファンドとして楽天証券などで販売されていますが、毎月分配型ということもあり、3年間のトータルリターンが1.58%とあまり好成績とはいえません。
そのGAMが香港を拠点に運用しているのが、欧州株式に投資する「GAM Star Continental European Equity EUR Acc」、日本株に投資する「GAM Star Japan Equity JPY Acc」、米国株に投資する「GAM Star US All Cap Equity USD Acc」です。日本ウエルス銀行(NWB)は3本とも扱っています。今回は、欧州株式に投資する「GAM Star Continental European Equity EUR Acc」の特徴を解説し、残りの2本については次回の連載で解説していきます。
2015年はベンチマークの2倍近い運用益
● GAMスター・コンチネンタル欧州株ファンド
(GAM Star Continental European Equity EUR Acc)
カテゴリーとしては「英国を除く欧州大型株ファンド」といってよいでしょう。過去5年間の平均リターンは8.38%(米ドルベース、2015年11月12日現在)、10年間でも7.31%(同)というパフォーマンスを示しています。
2014年は欧州全体の株価が下落傾向にあったために年間でマイナス8.6%になりましたが、2015年は10%以上プラスの運用益になりそうです。ベンチマークは「MSCI European ex.UK NR EUR」ですが、ベンチマークの2倍近い運用益です。
投資している通貨は、ユーロが73.6%、スイスフラン13.6%、スウェーデン・クローネ4.8%という具合に、圧倒的にユーロの比率が高くなっています。投資している企業を保有比率で見ると、徹底した分散投資であることが分かります(2015年9月30日現在)。個別銘柄別の投資比率の上位5社を見てみると、生活必需品などを扱っている一般消費財の企業が多いことが分かります。
・Paddy Power(一般消費財)……4.6%
・Wirecard(情報産業)……4.4%
・Roche(ヘルスケア)……4.3%
・Cie Financiere Richemont(一般消費財)……4.3%
・Continental(一般消費財)……4.2%
国別では、ドイツ、フランス、アイルランド、スイス、スペインがベスト5です。欧州に投資したファンドというのは、日本ではアジア株や米国株などに比較すると販売数そのものが少ないという現実があります。そういう意味でも、高い運用益を上げてきた欧州ファンドは貴重な存在であり、海外口座ならではの商品といっていいでしょう。