※本記事は、株式会社緑建設代表取締役社長・齋藤正臣氏の著作『改訂版 いい家は注文住宅で建てる』(幻冬舎MC)から抜粋、再編集したものです。最新の法令・税制等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

「家から近いほうがいいよね」という大誤解

■家から近い業者に依頼するのがいいのか

 

工務店を選ぶ際は、家から近い会社がいいという説が昔からあります。何かトラブルがあった際にすぐにかけつけてくれるという理由からです。

 

しかし、トラブルへの対処スピードは、それぞれの会社の姿勢の問題であって、距離の問題ではありません。例えば、ドアの締まりの調子が悪い、といったような急を要さないトラブルがあった場合、家から10分の場所にある会社と、家から1時間の場所にある会社を比較して、前者は対応が3日後だけど、後者は翌日にはすぐお宅へ伺って対応してくれるとしたら、後者の会社の方が結果的には早く問題が解決します。

 

実際、緊急を要するようなトラブルというのは、電気系統やガス給湯器の故障などであって、工務店では直せないので機器のメーカー担当者が修理に伺うことになります。そうなると、住宅会社に電話して、そこからまたメーカーのサービスセンターに連絡するのと、お客様自身がサービスセンターに連絡するのとでは大差はなく、住宅会社の距離は関係ありません。大事なのは、あなたが困ったときにすぐ対応してくれる会社かどうかです。

 

■棟数が多いと本当に安心なのか

 

手がけている住宅の数が年間何百棟以上ある。注文住宅部門で3年連続第1位……等。多くの注文を受注していれば、その会社は安心・信用できるということでしょうか。それだけの棟数の家を建てるのに、大工が何人、電気屋が何人、左官屋が何人必要でしょうか。

 

建築現場が増えれば増えるほど、関わる職人の数は増えていきます。大量の職人を導入すれば、その中で明らかに技術の差は生まれ、上手な職人だけの集団をつくることは不可能になります。

 

例えば、県内で10位の腕を持つ大工が来て、35位の左官屋が来て、23位の電気屋が来て家を建てれば、20位くらいのいい家ができるかもしれません。しかし、250位のタイル屋が来た瞬間にその家の品質は明らかに落ちてしまうのです。

 

同じ会社が造った家でも、ある人の家は素晴らしい出来で、ある人の家は欠陥があるということが起こりうるのです。年間の施工棟数が多い会社に、口コミや評価にばらつきが出るのはそのためです。

 

棟数の多い少ないがそのまま建てる家の質の良し悪しになるわけではありませんが、棟数が少なければ各現場、同じ職人が来て施工することになるので、品質のばらつきはなくなります。

 

しかし、昔ながらの地元の工務店の中には、技術のあるなしにかかわらず、昔からの付き合いで仲間の職人に依頼する会社もあります。棟数が少ないからといって必ずしもいいというわけではありません。品質のいい家を建てるためには、技術のある職人を常に抱えている会社を選びましょう。

 

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改訂版 いい家は注文住宅で建てる

改訂版 いい家は注文住宅で建てる

齋藤 正臣

幻冬舎メディアコンサルティング

人生で一番大きな買い物、「マイホーム」。理想のイメージばかりが先行して、見当違いな設計に後悔したり、不本意な金額を払ったりするハメに陥らないために、まずは住宅オーダーの基本を学びましょう。「よい見積り、悪い見積…

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