自分の家が「建築家の作品」になってしまうと…
■建築家は自分の作品を造っている
設計事務所の建築家に設計を依頼した場合、住む人の利便性よりも、自分の作品として考えている人が多く、施主が「ここはこうしたい」と修正を依頼しても、「いえ、ここはこの方がいいのです」と突っぱねられてしまうケースも多いようです。
長い時間をかけて打ち合わせをしたのに、建築家から意に添わないプランが出され、「この図面を造るのにこれだけの時間がかかったからこれだけの費用を払ってください」と言われても納得できるものではありません。
また、建築家の提案通り壁を曲面にしたら家具が置きづらくなったとか、不必要に段差が多くて疲れるといった話があります。こういった事例では、実際の暮らしぶりをまったく考慮せずに作品として設計したとしか考えられません。
もちろん、生活動線や使い勝手を考えたプランを立てて、施主の希望を聞いてくれる建築家の方も中にはいらっしゃいます。ただ往々にしてプラン変更を聞かない人が多いとよく耳にします。建築家の中には実際の建築現場の納まりを知らず、工事を担当している施工会社から設計を指摘されると機嫌を損ねる人もいるようです。
個性的な家に住みたい。その人の作風が好きで作品を購入したい。多少意に添わなくても構わない、というリスクを背負う覚悟ができているのであれば、建築家にお願いする意味はあると思います。美的センスや相性のいい建築家と出会えれば、もちろん満足のいく家が建てられるでしょう。