筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患した女性に致死量の鎮静剤を投与し、死に至らせたとして医師2名が逮捕された「ALS嘱託殺人事件」。人の安楽死とはなにか、改めて問われる事件となった。医療ガバナンス研究所の医療通訳士・趙天辰氏は、「自国の安楽死」について、日本と照らし合わせながら述べている。 ※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

80%の中国人は「安楽死を実施できる」と信じている

2006年に開催された、第10期中国人民政治協商会議の第4回会議では、安楽死法の問題が再び参加者間で広く議論された。

 

中国人民政治諮問会議の全国委員会のメンバーであり、中国社会科学院の研究者でもある趙公民氏は、北京、上海、河北省、広東省などで関連部門が調査を実施したと述べた。上海の200人の老人に対するアンケートでは、安楽死を支持する割合は73%を占め、北京の人々の85%以上が安楽死は人道主義であると信じており、80%は中国で安楽死を実施できると信じていた。

 

現在のところ、中国では一部の死刑囚に対してのみ「安楽死」を実施しており、一般的な利用としては法律で認められてはいない。しかし実際には、あらゆる種類の安楽死が暗黙の了解で、もしくは隠された状態で行われている。

 

たとえば、多くの病院では末期がん患者の受け入れ拒否や治療の断念をしているが、これも消極的安楽死の一種である。患者に対し大量の麻酔薬の使用が認められていることも、見方を変えれば安楽死を認めていることに変わりはない。しかし、このような法律が確立されていない状況下において、暗黙の了解で安楽死を認めることは、人命を守る観点においては非常に好ましくないことである。

 

では、中国で安楽死の議論が進まない理由はいったいなぜか。社会心理学の観点から次の3点が考えられる。

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