筋萎縮性側索硬化症(ALS)に罹患した女性に致死量の鎮静剤を投与し、死に至らせたとして医師2名が逮捕された「ALS嘱託殺人事件」。人の安楽死とはなにか、改めて問われる事件となった。医療ガバナンス研究所の医療通訳士・趙天辰氏は、「自国の安楽死」について、日本と照らし合わせながら述べている。 ※「医師×お金」の総特集。GGO For Doctorはコチラ

1986年、陝西省漢中で起こった「最初の安楽死事件」

中国で最初に起こった安楽死事件は、1986年に陝西省漢中で発生し、訴訟は6年にも及んだ。浦連生医師は、患者の子どもからの要請で患者を安楽死させ、後に「意図的な殺人」の疑いで逮捕された。

 

6年間の裁判を経て、浦医師はついに無罪となった。しかし、これは安楽死の合法性を意味するものではなく、浦医師が患者に処方したクロルプロマジンは害が少なく、主な死因ではないため、犯罪にはならなかっただけである。

 

直近でいうと、2011年に約20年間病気を患ってた70代の母親の要求で安楽死させたとして、41歳の息子が逮捕された事例もある。このように、すべての事例が暗黙の了解で認められるわけではない。

 

1994年以来、全国人民代表大会の提案グループは、毎年安楽死に関する法律の提案を受けてきた。1997年の最初の全国「安楽死」学術シンポジウムでは、ほとんどの代表が安楽死を支持し、一部の代表はこの問題に関する法律が差し迫っていると信じていた。しかし、安楽死が過半数の意思に適合しているかどうかは、一度も調査されることがなかった。

 

さらに、法律が実現されると、安楽死は強制力が非常に強いものとなってしまうのも懸念すべき点である。それをうまく利用すれば、患者の苦痛を本当に和らげることができる一方、犯罪者に都合よく利用される可能性も大いにあり得る。そのため、中国では、上海などで安楽死が密かに実施されているが、実質的な法的地位は得ていない。現在の刑法の解釈によると、安楽死は意図的な殺人の犯罪と定義される。

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