銀行は短期で売却されると利益が出ない
前回に引き続き、転売益を出した9500万円の広島の物件について見ていきます。
短期売却は銀行が嫌がります。銀行は資金を調達してきて20年、30年と借りてもらい、その間の金利を利益として期待しているので、短期で売却されると割りに合わないわけです。満期まで借りてもらわなくても短期は困るわけです。
今考えてみるとよくわかるのですが、当時は「借りたお金を返すのだからどこが悪いのだろう?」くらいに軽く考えていました。このときは運のいいことに、銀行へ正直に話をすることを心掛けていたので信用を失わずに済みました。
不動産市況が活況になっていたのは、買付を入れてもすぐに売れてしまっていることから、肌で感じていました。どこで当面の天井が来るかはわかりませんでしたが、一応保険のつもりで銀行の担当者に「いつ売ってもいいのですか?」と確認していました。担当者も筆者の質問を軽く受けとめたのか「いつでもいいですよ~」と返事をもらっていました。
このことにより、筆者は信用を失うことなく次の融資も受けることができたのです。ただし、当時の担当者はずいぶん上司から怒られたのではないでしょうか。今は気の毒に思っています。
短期売却では税金と手数料が高くつく
短期売買の収支は次のようになりました。わかりやすくするために概算です。
【購入】
●物件
9500万円
●購入にかかった費用
買手数料、契約印紙代、取得税、登録費用、火災保険など700万円
●購入時合計
1億200万円・・・・①
【売却】
●売却金額
1億1300万円
●売却にかかった費用
銀行手数料、売り手数料、登記抹消費、契約印紙代で400万円
●売却時差引合計
1億900万円・・・・②
②-①=700万円
【税金の計算(概算)】
●短期譲渡所得税
700万円×30%=210万円
●住民税
700万円×9%=63万
●合計
273万円(税金)
●所得額
700万円-税金273万円=427万円
よって、427万円が手取り額になりました。
9500万円の購入で、1億1300万円の売却ですので、1800万円の利益になるのですが、売りと買いの業者の手数料が300万円+360万円=660万円となり、税金・登記その他で713万円、自分の手取りは427万円です。
短期売買は経費が多くかかります。売買業者、国、司法書士、本人とで利益を分け合っているのです。それぞれの方のおかげで利益を得ているわけですからいいのです。ファンドの信託受益権売買はうまく節税スキームを作っているなと感心します。