FOMC、正常化に向けた準備

投資のプロフェッショナルである機関投資家からも評判のピクテ投信投資顧問株式会社、マーケットレポート・ヘッドライン。日々のマーケット情報を専門家が分析・解説します。※本連載は、ピクテ投信投資顧問株式会社が提供するマーケット情報・ヘッドラインを転載したものです。

 

今回のFOMCで関心が高かったのは、フォワードガイダンスと、今回初めて公表される23年の政策金利の予想レートであったと見ています。フォワードガイダンスに平均インフレ率2%を盛り込んだこと、少なくとも23年末までの低金利政策維持を示唆した点でハト派(金融緩和を選好)的ですが、経済の正常化を模索する、別の側面も示唆されている点に注意が必要と見ています。

9月FOMC:政策金利予想は23年末でも、大半がゼロ金利政策を想定

米連邦準備制度理事会(FRB)は2020年9月16日に米連邦公開市場委員会(FOMC、15~16日)の声明を公表しました。市場予想通り政策金利などは据え置く一方で、ドットチャートからは政策金利を少なくとも23年末まではゼロ付近で維持することを示唆しました。

 

なお、8月にパウエルFRB議長がジャクソンホールで発表した金融政策の新戦略に基づいて、新たなフォワード・ガイダンス(将来の金融政策の指針)が導入されました。

どこに注目すべきか:フォワードガイダンス、平均インフレ率、雇用

今回のFOMCで関心が高かったのは、フォワードガイダンスと、今回初めて公表される23年の政策金利の予想レートであったと見ています。フォワードガイダンスに平均インフレ率2%を盛り込んだこと、少なくとも23年末までの低金利政策維持を示唆した点でハト派(金融緩和を選好)的ですが、経済の正常化を模索する、別の側面も示唆されている点に注意が必要と見ています。

 

まず、新たなフォワードガイダンスは、幅広く報道されているようにインフレ率については平均2%を目指し、当面は2%を上回るインフレ率を許容する政策運営を示唆しています。

 

なお、前回(7月)FOMCの声明と今回を比較すると、政策運営について前回は市場機能を維持するため流動性を供給するという内容がありましたが、今回この部分が削除されています。これはコロナ感染の戦時モードから、景気回復を目指す段階へのシフトを示したと考えられます。

 

もしそうであるなら、フォワードガイダンスで雇用の最大化を明示したことは、景気回復を目指す段階では雇用の回復も含めた政策運営が想定されます。ただ、その運営には課題も残されていると見ています。インフレ率は個人消費支出(PCE)価格指数で2%と目標が数字で示されていますが、雇用最大化はそうではありません。一般には(低い)失業率で雇用の健全さが測定されます(図表1参照)。

 

しかし、雇用市場からの退出による労働参加率の低下が失業率を低下させているとすれば望ましい失業率低下とはいえないでしょう。またパウエル議長は人種間などで雇用に違いがあれば社会的に不安定となる可能性も指摘しています。失業率の重要さは変わらないとしても、別の指標も注目されるかも知れません。

 

次にFOMC参加者による予想を振り返ります。今回23年の予想が初めて示され、政策金利は大半が23年末までゼロ付近に維持するとしています。22年末まで見えていた低金利が23年末まで予想が延びたことで低金利政策の長期化を想定させる内容と見ています。インフレ率の上昇と、質の改善も含めた雇用市場の改善にはそれなりの時間がかかることを示唆している印象です。

 

ただ、23年の経済予想を見ると(図表2参照)、失業率やインフレ率は長期予想にほぼ達するとやや楽観的とも思える見通しが示されています。新型コロナの経済への影響は深刻で政策金利はゼロ近辺での維持が想定されます。長期の金利セクターも、国債購入など今回表に出なかった政策で利回り上昇は抑制されると想われますが、経済の正常化過程を織り込む自由度は若干高いように思われます。

 

月次、期間:2000年8月~2020年8月 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]米国失業率と労働参加率の推移 月次、期間:2000年8月~2020年8月
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

出所:FRBのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]FOMC参加者の経済予想(20年9月と6月予想比較) 出所:FRBのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『FOMC、正常化に向けた準備』を参照)。

 

(2020年9月17日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

投資家ご本人が、自ら考え、選び、投資をするプロセスを徹底サポート!
幻冬舎グループのIFAによる
「資産運用」個別相談会

 

[PR]11月25日(水)WEB&幻冬舎会場開催/特別イベント
新型コロナ・ショックに揺れる世界のマーケットをプロはどう見ているのか?
資産運用のプロから直接「本音」が聞ける!

IFA口座開設済みのお客様限定/特別フリートークセッションライブ

 

 

幻冬舎グループがIFAをはじめました!
「お金がお金を生む仕組み」を作りたいけど、相談相手がいない…
この現実から抜け出すには?

 こちらへ 

ピクテ投信投資顧問株式会社
運用・商品本部 投資戦略部 ストラテジスト 

日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

1981年、日本経済や株式市場の調査を目的に東京事務所を設立しました。その後、1987年から機関投資家を対象とした資産運用サービス業務を開始、1997年には投資信託業務に参入し、運用資産総額は1.98兆円となっています(2018年12月末現在)。外資系運用機関の大手の一角として、特色ある資産運用サービスをお届けしております。

著者紹介

連載PICTETマーケットレポート・ヘッドライン

【ご注意】
●当レポートはピクテ投信投資顧問株式会社が作成したものであり、特定の商品の勧誘や売買の推奨等を目的としたものではなく、また特定の銘柄および市場の推奨やその価格動向を示唆するものでもありません。
●運用による損益は、すべて投資者の皆さまに帰属します。当レポートに基づいて取られた投資行動の結果については、ピクテ投信投資顧問株式会社、幻冬舎グループは責任を負いません。
●当レポートに記載された過去の実績は、将来の成果等を示唆あるいは保証するものではありません。
●当レポートは信頼できると考えられる情報に基づき作成されていますが、その正確性、完全性、使用目的への適合性を保証するものではありません。
●当レポート中に示された情報等は、作成日現在のものであり、事前の連絡なしに変更されることがあります。
●投資信託は預金等ではなく元本および利回りの保証はありません。
●投資信託は、預金や保険契約と異なり、預金保険機構・保険契約者保護機構の対象ではありません。
●登録金融機関でご購入いただいた投資信託は、投資家保護基金の対象とはなりません。
●当レポートに掲載されているいかなる情報も、法務、会計、税務、経営、投資その他に係る助言を構成するものではありません。

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

登録していただいた方の中から
毎日抽選で1名様に人気書籍をプレゼント!
会員向けセミナーの一覧