中国主要経済指標に想う、プラス成長の確保

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中国の主要統計である小売、鉱工業生産、固定資産投資の8月分をヘッドラインの数字で見ると、3指数とも市場予想を上回りました。これらの指標だけでも中国景気の回復を確認できますが、内容を見ると、結論である中国景気回復傾向は同じですが、今まで中国の景気回復を支えてきた要因にわずかながら変化も見られます。

中国主要統計:8月の小売売上高は、ようやく前年同月比でプラスへ転じる

中国国家統計局が2020年9月15日に発表した8月の主要経済指標によると、小売売上高は前年同月比0.5%増と、市場予想(0.0%)、前月(マイナス1.1%)を上回りました(図表1参照)。工場やオフィス建設などを反映する1-8月の固定資産投資は前年同期比マイナス0.3%と、市場予想(マイナス0.4%)、前回(マイナス1.6%)を上回りました。

 

鉱工業生産は前年同月比5.6%増と、市場予想(5.1%増)、前月(4.8%増)を上回りました。なお、調査ベースの失業率は5.6%と前月の5.7%から低下しました。

どこに注目すべきか:小売売上高、オンライン、発電量、成長率

中国の主要統計である小売、鉱工業生産、固定資産投資の8月分をヘッドラインの数字で見ると、3指数とも市場予想を上回りました。これらの指標だけでも中国景気の回復を確認できますが、内容を見ると、結論である中国景気回復傾向は同じですが、今まで中国の景気回復を支えてきた要因にわずかながら変化も見られます。

 

では、その変化を小売売上高の中で確認します。

 

まず、経済が正常化に向かいつつあることがデータに表れはじめています。中国の3月からの急回復はコロナで止まっていた中国製品の輸出急増が背景です。そのため生産部門の回復が先行し、鉱工業生産は小売売上の改善を上回っていました。しかし、ようやく小売(個人消費)に堅調さが戻ってきたと見られます。この背景は失業率の低下、雇用の安定化などがあげられます。もっとも、失業率はコロナ前の水準と比べ距離があり、回復はあくまで途上と見られます。

 

次に、小売売上をオンライン経由と店舗など対面での売上で分けると、コロナの影響で外出を控えていたことで好調であったオンライン経由が低下する一方、店舗での売上が回復傾向です。中国の人の流れをリアルタイムデータで見ても人の動きが戻りつつあることと整合的です。

 

一方、小規模ながら政府の補助もあり売上を維持していた自動車は8月も前年比7.6%と増加を確保しましたが、5月から7月は毎月前年比20%前後の伸びであった頃よりは勢いが落ちた印象です。当局支援頼みの成長から、自律的な回復へ徐々に向かい始めているのかもしれません。

 

鉱工業生産も、8月は前年比5.6%と回復を維持しました。実態を反映しやすい発電量が前年比6.8%と堅調であることとも整合的です(図表2参照)。鉱工業生産を支えているのは、主にハイテク製品や医療関連製品と見られます。これは、先日発表された中国の8月の輸出が在宅勤務関連製品や医療関連製品への需要を背景に前年比9.5%と市場予想を上回ったことと整合的だからです。ただ、日本でもマスク(多くは中国製)の購入が容易となったように、過大な外需の持続性には疑問もあり、恐らく正常化するものと思われます。

 

一方で、セメントや鉄鋼製品の改善は大洪水で中断していた建設が再開した可能性も示唆されます。

 

景気支援策を継続する一方で、自律回復の芽を伸ばせれば中国の今年の成長率が2%を越える可能性も考えられます。

 

月次、期間:2016年6月~2020年8月、前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表1]中国小売売上高と失業率の推移 月次、期間:2016年6月~2020年8月、前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

月次、期間:2020年7月(左)、2020年8月(右)、前年同月比 出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成
[図表2]中国鉱工業生産と主な項目の変化率の推移 月次、期間:2020年7月(左)、2020年8月(右)、前年同月比
出所:ブルームバーグのデータを使用しピクテ投信投資顧問作成

 

 

※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『中国主要経済指標に想う、プラス成長の確保』を参照)。

 

(2020年9月16日)

 

梅澤 利文

ピクテ投信投資顧問株式会社

運用・商品本部投資戦略部 ストラテジスト

 

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ピクテ投信投資顧問株式会社
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日系証券会社のシステム開発部門を経て、外資系運用会社で債券運用、仕組債の組み入れと評価、オルタナティブ投資等を担当。運用経験通算15年超。ピクテでは、ストラテジストとして高度な分析と海外投資部門との連携による投資戦略情報に基づき、マクロ経済、金融市場を中心とした幅広い分野で情報提供を行っている。経済レポート「今日のヘッドライン」を執筆、日々配信中。CFA協会認定証券アナリスト、日本証券アナリスト協会検定会員(CMA)

著者紹介

ピクテは1805年、スイス、ジュネーブにおいて会社創設以来、一貫して資産運用サービスに従事し、運用サービスに特化したビシネスモデルを展開してまいりました。信用格付ではフィッチ・レーティングスからAA-の格付けを取得しております(2018年5月末現在)。注:上記の格付はピクテ・グループの銀行部門の債務の信用に対するもので、運用部門や運用能力に関するものではありません

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