脳が疲れ情報を処理しきれなかったとき、ながら行動のとき、気持ちが焦ったときなどに、思いもよらないミスをしてしまうことがあります。ヒューマンエラーを防止するには、活動の流れを追って「要因」を見つけ出すことが重要なのです。※本記事は化学系会社にて5年間ISO規格の品質及び環境マネジメント事務局を担当していた尾﨑裕氏の書籍『ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

 

mは“人とその周りの要素とをうまく調和させ、お互いの関係をより良い状態にする、そんな目的で作られた決め事”と解釈できます。その意味から、中心で活動する人の快適性を求める時、マネジメントがうまく機能しているか否かは、非常に重要なポイントになります。

 

組織においては、[図表1]に示す図形の意味を次に挙げた例で説明できます。

 

①S:Software=マニュアル、手順書、基準書、教育用資材など
②H:Hardware=機械、器具、装置の設計、掲示板、それぞれの設備の配置など
③E:Environment=作業環境、作業特性、作業を行う場の雰囲気など
④L:Liveware=関係する人、職場の上司、職場の同僚・仲間など
⑤L:Liveware=中心で活動を行う人(本人)
⑥m:management=マネジメント

 

それでは、中心の人と周囲の各要素との関係について、“うまく噛み合わない状態”とはどういうことなのでしょうか。作業現場を例に説明します。

 

①L-S間の関係例:softとは、“マニュアル”や“手順書”、“ルール”などです。ここで“うまく噛み合わない”とは、中心の人がマニュアルや手順書の意味を充分に理解できていないということです。

 

更に、マニュアル側の不具合である“作業が煩雑であること”や、逆に“注意力を持続できないほど作業が単純すぎる”などの作業難易度の不一致も“うまく噛み合わない” 状態だと言えます。注意が必要なのは、“手順書そのものがない”、又は用意された“作業標準・作業基準そのものが順守できる条件でない”、“文書が稚拙” などのソフト側に問題がある場合も含むことです。

 

②L-H間の関係例:工場を例に挙げると、“監視機器などの性能が悪い”ことや“管理する設備の機能自体が適切でない(機能がマッチしない)”など、機器側に問題がある場合です。現場の掲示において“表示が見にくい”、“基準値の表示がなく、決められていることが分からない(規定された数値の表示がない)”などについても該当します。

 

③L-E間の関係例:気温、照明、騒音などの作業環境が悪い場合です。

 

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