「ミスした人が悪い風潮」が間違いだといえる、これだけの理由

脳が疲れ情報を処理しきれなかったとき、ながら行動のとき、気持ちが焦ったときなどに、思いもよらないミスをしてしまうことがあります。ヒューマンエラーを防止するには、活動の流れを追って「要因」を見つけ出すことが重要なのです。※本記事は化学系会社にて5年間ISO規格の品質及び環境マネジメント事務局を担当していた尾﨑裕氏の書籍『ヒューマンエラー防止対策』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。

情報処理の途中で発生する齟齬=ヒューマンエラー

人は、自らの五感を通して、外界の状態を脳の内部に情報として取り入れます。これが下等動物なら、脳の内部に取り入れた情報に対して単純に反応するだけです。

 

それに対して人は“自意識”というものを持ち合わせているため、ただ反応するだけではありません。得た情報を充分に理解し、自分なりに解釈し、そのうえで自分の行動につなげようとします。

 

しかし、そんな情報処理の途中で齟齬が生じることが あるのです。そうです。この齟齬こそがヒューマンエラーの種となるのです。言い換えれば、ヒューマンエラー防止対策はこの“齟齬”の原因となる因子を無くすことだと言えます。

 

ここで1つの例を取り上げてみましょう。仮に、あなたの妻が自宅で、あなたが帰宅するのを待ちわびながら、夕飯の用意をしているところだと仮定します。今は、本日のメイン料理に合わせた野菜スープを仕上げる段階です。妻が少しスープを掬って、味見をしました。それが、[図表1]で示すところのインプットです。

[図表1]人間の情報処理モデル

 

使う感覚は、言わずと知れた「味覚」です。妻は①の味覚で味を確かめます。

 

次に、②の感知した味の情報を電気信号に変えて、脳(大脳の味覚野)へ伝えます。

 

③の記憶の番です。記憶には、これまで同じ料理を幾度も作ってきた過去の経験が詰まっています。そこでスープ調理に関わるいくつもの記憶を呼び戻して、今日のスープの味と比較します。

 

ここで、“少し塩味が足りない”と感じました。

 

次に④の思考の出番です。このまま煮詰めると、野菜からもう少し旨みと水分が出ると考えました。仕上がりの段階で少し塩分が足りない状態になると判断したのです。

 

⑤の判定の結果は、“少し塩を足す”という結論に達しました。

 

最後に⑥の動作で、塩を一振りお鍋に加えたのでした。

 

以上のように、いくつかの工程を経由しながら情報を処理することで、人は次に何を行うべきかを判断し、行動につなげます。仮に、これら調理に関する工程の中で、エラーが発生するとしたら、原因としてどのような可能性が秘められているでしょうか。少し考えてみましょう。

 

料理で失敗…原因としては、どのような可能性が秘められているのか (画像はイメージです/PIXTA)
料理で失敗…原因として、どのような可能性が秘められているのか
(画像はイメージです/PIXTA)

 

連載ヒューマンエラー防止対策

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