今回は、相続税の「物納」が極めて難しくなったことをお伝えします。 ※本連載は、不動産コンサルタントとして活躍し、自身も賃貸経営を行っている山口智輝氏の新刊で、2015年11月に刊行された『大家業を引き継ぐあなたへ』(セルバ出版)の中から一部を抜粋し、大家業の引き継ぎを成功させるノウハウなどをご紹介します。

2006年以降に物納制度が厳格化

いまだに「相続税は物納するから大丈夫」と言われる方がいらっしゃいます。以前は、物納も認められていたので、その当時のイメージだと思うのですが・・・。今は、物納がほとんど認められなくなり、借金してでも相続税を納めなさいというようになっています。

 

ちなみに、平成10年の物納申請件数は 7076件、許可は4546件でしたが、平成26年は物納申請件数120件、許可88件と激減しています。それは、2006年以降、物納制度が厳格化されたからです。

生活費以上の現金・預貯金を残しての「物納」は難しい

物納の条件の1つに、所有する現金・預貯金では支払いきれない場合という項目があります。しかし、以前は、家を新築する予定がある等、理由をつければ手元に現金・預貯金があっても、物納が認められていました。ところが、現在は、最低限の生活費以上の現金・預貯金を残しての物納が認められることは、とても難しくなっています。

 

また、分割して相続税を納める延納もありますが、市中金利より高い金利がつきますので、売却の目処が立っていない限り選択すべきでないかと思います。物納制度は、10か月以内に現金一括納付ができない場合のセーフティネットの役割を持っていましたが、厳格化でそれが期待できなくなった現在、長期的な計画・対策の実行が不可欠です。

 

【図表 物納の推移】

 

本連載は、2015年11月20日刊行の書籍『大家業を引き継ぐあなたへ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

大家業を引き継ぐあなたへ

大家業を引き継ぐあなたへ

山口 智輝

セルバ出版

「この本は、大家業を引継ぐ2代目、3代目大家さんが、大家業を通じて明るい未来を描ける本です」 大都市を中心に、元々地主でない不動産大家、サラリーマン大家といった不動産投資家が増加しているが、地方では、元々地主の…

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