遠方にある実家――相続したらどうするべきか?

今回は、遠方にある実家の相続をどうしたら良いのかを考えてみます。 ※本連載は、不動産コンサルタントとして活躍し、自身も賃貸経営を行っている山口智輝氏の新刊で、2015年11月に刊行された『大家業を引き継ぐあなたへ』(セルバ出版)の中から一部を抜粋し、大家業の引き継ぎを成功させるノウハウなどをご紹介します。

「空き家」は行政が強制的に対処できる法令も施行

遠方の不動産、特に県外のある実家はどうすればいいのでしょうか。

 

2015年2月に施行された「空き家対策措置法」では、著しく保安上危険となる恐れがある空き家、著しく衛生上有害となる恐れがある空き家に対して、強制的に対処できる規定が設けられました。

 

そして、行政からの助言や指導を受けても改善しないと、住宅用地としての固定資産税の特例から除外され、土地の固定資産税が6倍になる可能性があります。

 

また、建物の状態によっては、解体費用所有者負担で、行政代執行により解体されることもあります。もちろん、両親が住んでいる場合は問題ありませんが、お亡くなりになり、相続した場合には、どのようにするのか方向性を検討し、明確にする必要があります。

退職後に実家に住むというのも1つの手

(1)将来、退職後に実家に帰り住む

相続人からすると、以前住んでいたので地元に帰る感覚ですが、お子さんがいる場合、お子さんの地元は現在住んでいる場所であり、実家はお盆と正月に行く祖父母の家という感覚です。

 

また、奥さんにとっても、県外に出た後に知り合ったのであれば、同じ感覚でしょう。すでに現在の住んでいる場所に、友人知人がいて、いろいろなつながりができています。もちろん、会社の異動等、必要性、引越しの期限(いつまでに)等があれば別ですが、そうでもない・・・。

 

さらに、現在住んでいる住居が、賃貸ではなく、所有する家、マンションであった場合、それをどうするのかという問題も出てきます。本当に退職後に実家に帰り住むのか。その場合、夫婦で住むのか、子どもも連れていくのか、(子どもの年齢により、様々だと思いますが)家族で話し合っておく必要があります。

 

(2)年間数回帰省し、清掃・草刈り等の管理、また建物の状態によっては、都度お金をかけて直す

住んでいない建物は、建物の老朽化が加速します。あまり空気の入替えもされず、また、何か不具合(雨漏れ、水漏れ、台風等による破損等)が起きても、発見が遅れ、被害が拡大します。

 

その都度お金をかけ、修繕工事をしていくのか、また草刈り、そして立派な庭があれば庭師さんを入れ、定期的に剪定するのかを検討します。さらに、遠方であればあるほど、時間と交通費がかかります。そして、現在の住居が所有する家、マンションであれば、2軒の建物を所有することになるので、維持修繕費も2倍になることを考慮する必要があります。

毎年かかる税金を考慮するなら売却は早期の決断を

(3)売却する

そのままの状態、もしくは建物を解体し、更地として売却する方法です。住まない実家の売却希望物件は、たくさんありますので、立地がよくないと二束三文でしか売れないことが多いです。

 

ただし、毎年かかる固定資産税、都市計画税、維持修繕費、ライフラインの基本料金等を考慮すると、いずれ手放すのであれば、まだ値段が付く少しでも早い時期のほうがいいのかと思います。

 

(4)貸家として貸す

そのままの状態、もしくはリノベーションして貸家として貸し出す方法です。賃貸需要がある立地であれば、リノベーション工事をし、その地域の相場家賃で貸し出します。

 

また、少し立地が悪ければ、住める状態にだけして、格安で貸し出すのです。入居者がいれば、無管理状態として指導もされず、固定資産税の特例から除外されることからもまぬがれます。

 

(5)解体し、戸建賃貸、もしくはテラスハウスを建てる

立地がよく、賃貸需要も見込めるのであれば、解体し、戸建賃貸もしくはテラスハウスを建て、賃貸経営を行います。将来的には、入居者等に収益物件としてではなく、住宅として売ることも視野に入れ、計画します。

アセットクリエイションズ 代表取締役 一般財団法人日本不動産コミュニティー 福井支部長

アセットクリエイションズ代表。一般財団法人日本不動産コミュニティー福井支部長。福井大家塾理事。J-REC公認不動産コンサルタント。相続診断士。相続アドバイザー協議会認定会員。
大学卒業後、建設会社で土地活用の飛込み営業を行う。仕事を通じたさまざまな経験から、アパマン経営の事を本当に相談できる窓口になるべく賃貸経営専門の不動産コンサルタントとして独立。また、不動産コンサルタントなら賃貸経営をするべきとの考えに至り、競売で全室空室物件を落札。3か月で満室にし、現在も満室を継続中。不動産コンサル個人実績 30億円。
2015年11月に刊行された書籍「大家業を引き継ぐあなたへ」はamazonランキング1位(株主総会、取締役会、会社継承部門)を獲得。

著者紹介

連載大家業の「引継ぎ」を成功させる方法

本連載は、2015年11月20日刊行の書籍『大家業を引き継ぐあなたへ』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

大家業を引き継ぐあなたへ

大家業を引き継ぐあなたへ

山口 智輝

セルバ出版

「この本は、大家業を引継ぐ2代目、3代目大家さんが、大家業を通じて明るい未来を描ける本です」 大都市を中心に、元々地主でない不動産大家、サラリーマン大家といった不動産投資家が増加しているが、地方では、元々地主の…

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